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中野たむが「2人分の重荷」を1人で背負うことに? スターダム“赤と白の二冠女王”が選んだ試練…テーマは「残された時間をどう生きるか」
posted2023/06/04 17:01
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
5月27日、大田区総合体育館。赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム選手権)の女王・中野たむは、白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム選手権)の女王・白川未奈を破って二冠王者になった。4月23日、横浜アリーナでの赤いベルト戴冠から1カ月余りで、中野は岩谷麻優以来の2人目の快挙を現実にしてしまった。
中野たむは「2人分の重荷」を背負うことになるのか
スターダムでは2度目となる赤白のダブルタイトルマッチ。前回行われたのは2018年9月30日、名古屋で赤の王者が花月、白の王者が渡辺桃だった。この試合はダブルノックアウトとなり、タイトルの移動はなかった。
白いベルトを2017年5月14日に宝城カイリから奪った岩谷は、同年6月21日の赤いベルト戦で紫雷イオを破って二冠王者になった。その後、白いベルトは9月23日に大阪で行われた3度目の防衛戦で美闘陽子に敗れて失った。また、赤いベルトもその翌日、9月24日に名古屋で行われた3度目の防衛戦でケガによるレフェリーストップでトニー・ストームに敗れて失った。岩谷が二冠王者だった期間は約3カ月ということになる。
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ゾンビのようにタフな岩谷でさえ、どちらも2度ずつしか防衛できなかったという現実。同様に中野にもこれから先、大きな試練が降りかかる。中野は二つの王座でそれぞれ違った戦いを見せるという試合スタイルを掲げ、それを貫こうとしているからだ。
スターダムの近年のタイトルマッチ・スケジュールを1年というスパンで見ると、それぞれの王座戦が1年間に10回前後のペースで行われている。
大会場での試合が増えれば増えるほど、興行的に商品価値のあるタイトルマッチが組まれることになるから、必然的に防衛戦が増えるという計算だ。
これまでは1年に10回だったものが、「2本同時には賭けない」という選択をすると、単純に考えれば20試合ほどになる。そこまではやらないかもしれないが、これは中野にとってかなりの負担になるはずだ。
「自分に残されたプロレスラーとしての限られた時間」を中野は意識している。中野はその時間を、これらのタイトルマッチにささげることになる。
感情の白いベルトと、スターダム最高峰の赤いベルトの存在意義をかけて、1人の王者がテーマに沿って戦うという過酷な選択をしたことは、見ている側としては面白いと思う。ただ、2人分の重荷を1人で背負うことで、中野に残されたプロレスラーとしての時間は、さらに短くなってしまうのではないだろうか。