月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
“ジンクス破り”を予見していた人物は誰? タスティエーラ&レーン騎手が69年ぶりの「テン乗り」でダービー制覇!
posted2023/06/01 11:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Keiji Ishikawa
5月28日に行われた第90回日本ダービーは、皐月賞馬・ソールオリエンスを退け、4番人気のタスティエーラが頂点に立った。
5月のスポーツ新聞の華と言えば競馬記事だった。G1レースが続き、オークス・ダービーがあるので1面になることも多かった。
今年のダービーの主役は皐月賞からの無敗2冠を狙うソールオリエンス。しかしスポーツ新聞を読んでいると「無敗2冠」のほかに今年はもう一つ目立つキーワードがあることに気づいた。それは「ジンクス破り」だ。ジンクスにチャレンジする有力馬が何頭かいた。
最も有名なダービーのジンクスは「青葉賞馬はダービーを勝てない」である。青葉賞はダービーと同じ東京競馬場の2400メートルでおこなわれるダービートライアルなのに、なぜかダービー優勝馬は出たことがない。よく指摘されるのは本番まで中3週で東京2400メートルを走る過酷さという点。
ジンクス破りの心構え
しかし今年はいよいよジンクスが破られるのでは? という期待が高まっていた。今年の青葉賞馬・スキルヴィングは相当強いぞとスポーツ紙はざわめいていた。スキルヴィングはソールオリエンスと同じキタサンブラック産駒である。キタサン産駒を倒すのはキタサン産駒なのか?
もう一つ言われていたダービーのジンクスが「テン乗りではダービーを勝てない」だった。テン乗りというのは、その馬に騎手が初めて騎乗することをいう。今年の人気馬で言うとタスティエーラ(ダミアン・レーン騎手)、ファントムシーフ(武豊騎手)などが該当した。
するとダービー当日の日刊スポーツに興味深いコラムが載っていた。角居勝彦元調教師が『「ジンクスなんてない」の気持ちが大事』と書いていたのだ。角居氏といえば2007年にウオッカで64年ぶりに牝馬でダービー優勝を成し遂げた方でもある。
コラムで取り上げていたジンクスは「ダービーではテン乗りは勝てない」だった。角居氏は2019年のダービーに無敗で出走させ、1番人気となったサートゥルナーリアを振り返っていた。皐月賞を勝ったクリストフ・ルメール騎手が騎乗停止で乗れなくなり、レーン騎手に騎乗依頼した経緯があったのだ。