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「だって乗っているのが僕ですから」テイエムオペラオー“覇王”前夜の1ハロン…和田竜二が語る伝説のダービー秘話「あの感触は今も残っています」
text by
軍土門隼夫Hayao Gundomon
photograph byTomohiko Hayashi
posted2023/05/26 17:00
先頭で右ムチを連打する和田竜二(橙帽)/テイエムオペラオーと食らいつく渡辺薫彦(緑帽)/ナリタトップロード。武豊(白帽左)/アドマイヤベガはそれを大外から窺う
テイエムオペラオーは中団。その直後の外にナリタトップロードがいた。「理想的な入りでした」と和田。渡辺は「狙ったわけじゃないんですが、スタートすると和田がずっと前にいました」と振り返る。
向こう正面、渡辺が手綱を押して気合いをつけた。小さく肩ムチも入れたという。
「オペラオーに置いていかれないようにっていう意識があったんだと思います」
オペラオーに勝てば、ダービーを勝てる。渡辺はそう思っていた。トップロードとGIを、ダービーを勝ちたい。それにはオペラオーに勝たなければいけなかった。
1000mは60秒2。暴ペースとまではいかないが、緩むところの一切ない厳しい流れで、馬群は3コーナーへ入っていく。そして残り600m手前、このダービーの勝敗を分けた最大のポイントが訪れる。
「でもオペラオーを負かすなら、ここしかない」
先団がごちゃつき、タイクラッシャー、ペインテドブラック、チョウカイリョウガの3頭が並ぶ形となった。直後にテイエムオペラオー。ここで引けば進路が塞がったまま動けなくなるかもしれない。考える間もなく、和田はテイエムオペラオーを外に出した。そこへちょうど上がってきたのが、渡辺のナリタトップロードだった。
「トップロードは加速に少し時間がかかる馬なので、包まれたくないと思ってダービーではスタートからずっと外を通っていたんです。仕掛けるタイミングは少し早いかなとも思ったんですが、でもオペラオーを負かすなら、ここしかないと思いました」
2頭が並んだ。「一瞬でした」と和田。
「ギュッと加速したんです。あの感触は、今も残っています」
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