
ダービー馬はその年を象徴する存在だ。
でもダービーの1番人気馬──もっと言うと1番人気でダービー馬に勝てなかった馬にもまた、時代の記憶は生々しく映し出されている。なぜあのとき、あの馬に期待したのか。そしてなぜ敗れたのか。それを知るのは過去の自分を知ることにも似る。
ダービーを初めて1番人気で負けたのは第2回、1933年のアスリートだった。結果は3着、優勝はカブトヤマだった。
最も大敗したのは'62年カネツセーキで、フエアーウインの28着。この年は史上2番目タイの32頭(最多は33頭)立てだった。
'69年タカツバキはスタート直後に挟まれて落馬し、史上唯一の1番人気での競走中止となった。ダイシンボルガードの年だ。
皐月賞の創設後は、1番人気の多くが同レースの勝ち馬となる。馬券発売のあった過去80回中、37回がそうで、古くは'49年トサミドリ(7着)や'73年ハイセイコー(3着)から昨年のエフフォーリア(2着)まで枚挙に暇がない。皐月賞ではないが、すでに2歳GIを勝っていた'18年ダノンプレミアム(6着)もその類いといえる。
ダービーは敗れたが、その後にGIを勝って1番人気に相応しい馬だったことを証明した馬も少なくない。'88年サッカーボーイ(15着)、'96年ダンスインザダーク(2着)などは、そのほんの一部の例だ。
では、それすらなかった馬は? 人々はなぜその馬を1番人気にしたのだろうか?
ダービーの前も。1番人気のダービーも。そしてダービーの後も、ついにGIを勝てなかった馬は、この30年で3頭いる。
続きの内容は…
- 単勝1.6倍でダービー史上8位の支持率。
- 人々のギラギラした勢いが、時代が、フサイチホウオーを1番人気にした。
- 「正直めちゃくちゃ。えげつない」と評する勝ち方
- 「100点の仕事ができました。それでも勝てませんでした」
- 時代はディープvsステイ。池江にとっては2年連続の1番人気。
- 池江にとっては2年連続の1番人気だった。
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