1-0で始まった後半もマドリーの勢いは衰えない。さらには、序盤での劣勢に対しアンチェロッティが打った手は、攻撃時には両サイドバック、カマビンガ、カルバハルを中盤に押し上げ、モドリッチもしくはクロースのどちらかがバックラインに落ちてくると、自由に最終ラインから攻撃のリズムを作り出した。

　撮影をしながら、全てがマドリーの狙い通りのように感じ始めていた。攻勢をかけるマドリーが追加点を奪うには至らないということ以外は。試合後、試合についての説明を求められたグアルディオラは「彼らが良い時に、ゴールを決めた。説明なんてないんだ、サッカーだから」と答えている。

マドリー優勢に見えたがデブライネが…

　名将にも説明することはできなかったが――67分、マドリーペースの中、デブライネがボックス外から地を這うような低弾道のミドルシュートを打ち込み同点に追いついている。

　直前のプレイでボールがラインを割っていたのではないか、カマビンガのパスミスが原因なのではないか、ハーランドがおとり役として機能していたからなのか……細かい分析や批評はあるが、チャンスにゴールを奪えなかったマドリーが奪われたということに尽きる。

　ただ、ビニシウス、デブライネのシュート共に、ボックス外からの強烈な一撃が見事なコースに飛んでいる。クルトワにエデルソンが守るゴールマウスを破るのは、並大抵のことではない。事実上の決勝戦とも謳われたそのレベル通りの、2つのゴールだった。

　グアルディオラの「説明できない」という発言も、“このレベルのサッカーでは”が隠されているのだろう。

グリーリッシュの足に見る筋肉美

　勝ち上がりラウンドだが、1stレグのため延長戦はない。1-1のまま試合は終了、決着はマンチェスターでの2ndレグに持ち越された。激しい攻防を繰り広げたビニシウスとウォーカーが、ハーランドとルティガーなどが健闘を讃えあった。

　CL準決勝の舞台をピッチ脇で撮影し、技術レベルの高さだけでなく、身体レベルの高さも感じさせる戦いだった。間近で撮影したグリーリッシュのふくらはぎ、もも裏の筋肉の発達ぶりが、それを裏付けているように感じた。

　またシティメンバーは、交代なく90分を先発メンバーが戦い抜いている。続く2ndレグにどのような影響を及ぼすだろうか。