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最後の直線の攻防だけで「150秒」…渡辺薫彦「とてつもなく長かった」を再現、アニメウマ娘『ROAD TO THE TOP』は1999年ダービーをどう描いたか? 

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屋城敦

屋城敦Atsushi Yashiro

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posted2023/05/21 17:00

最後の直線の攻防だけで「150秒」…渡辺薫彦「とてつもなく長かった」を再現、アニメウマ娘『ROAD TO THE TOP』は1999年ダービーをどう描いたか?<Number Web> photograph by Cygames, Inc.

ダービーの直線の攻防、ナリタトップロードとテイエムオペラオーとの競り合いも丹念に描かれ、後ろにはアドマイヤベガが迫り…

オペラオーはなぜ演説を始めた?

 そして、三者三様のやりかたで調整を進めていき、いよいよ日本ダービーを迎える。解説が3人の名を挙げ、「誰が勝ってもおかしくない」と言及するなどすっかり三強ムード。じつは皐月賞での惨敗からアドマイヤベガは戦前、評価を落としていたのだが、アニメで「調整は完璧」と評されたように、史実でも調整が上手くいって馬体重を10キロ戻し、そのことが好材料と見られていたのである。単勝オッズではナリタトップロード3.9倍、アドマイヤベガ3.9倍、テイエムオペラオー4.2倍と人気が伯仲していた。

 ゲート入りでは突然テイエムオペラオーが演説を始める。この演出は、史実でテイエムオペラオーがゲート入りを嫌がっていたことが元ネタになっていると思われる。その日の東京競馬場には17万人もの大観衆が詰めかけており、異様な雰囲気に各馬のテンションも上がり、オペラオーもゲート前でいきなり動かなくなる場面があった。一方、ナリタトップロードとアドマイヤベガは落ち着いており、アニメの描写でもそのことが表現されている。

最後の直線の攻防に「150秒」

 レースは、先に抜け出したナリタトップロード、テイエムオペラオーを、後ろに控えたアドマイヤベガが大外から差し切る。ゴール時の「輝く一等星に! アドマイヤベガ!!」という実況フレーズは、実際にフジテレビ三宅正治アナウンサーが中継時に発した言葉と全く同じだ。

 この最後の直線の攻防を、ナリタトップロードに騎乗した渡辺薫彦騎手は「とてつもなく長かった」と語っていたが、第2話ではこのシーンに約150秒かけている。第1話の皐月賞のそれが約60秒だったことを考えると、いかに長く描いていたかがわかる。

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