「もつれた試合だったので多少は緊張しましたけど、やるしかないなって感じでしたよ。コンディションですか？　手応えはありましたよ。ただ、もうちょっと体の切れが出てくれればなって思いますけど、そこはシーズンが進むにつれ良くなると思います」

　かつてはクローザーまで務め、“勝ちパターン”の一角だった三嶋であるが、現在の立場はどんな場面であっても登板するニュートラルなリリーバー。しかし、そこには不満はない。

「去年結果を出した“勝ちパターン”は固定されていますし、いきなり僕がそこに入るのは虫が良すぎますよね。僕は、負けていても勝っていても同点でも自分のパフォーマンスを発揮するだけです」

僕でよければ力になってあげたい

　まったく欲が感じられない自然体。三嶋は次のようにつづけた。

「僕は先発投手から負け試合での登板、セットアッパー、クローザーと全部経験していますからね。だからいろんな気持ちというか、常に当事者として状況を見ることができます。だから例えば若手が今は勢いで行けるけど、これから責任や想いを背負っていくにつれ苦しくなるときがきたら、僕でよければ力になってあげたい。本当、チームが勝つために協力したいし、もちろん僕もまだまだ一線級でやりたいので、負けないようにがんばるだけです」

　ブルペンにおける三嶋一輝の存在の大きさは、きっと誰もが理解しているはずだ。

「僕も今年でもう33歳ですよ。いろんなものを背負ってますからね」

2021年には守護神を務めた三嶋　©Hideki Sugiyama

　そう言うと三嶋はニヤッと笑った。

　ひとつ確認したいことがあった。現在、痛みやしびれなどの症状は出ていないというが、難病だけにその定義は不明なのだが、いわゆる“完治”はしているのだろうか？

“完治”はしているのか？

「そこは難しいところなんですよね。結局、投げている以上、患部に負担はかかっている。どうやったら負担がかからないかを常に考えて練習や投球をしています」

　では再発の恐れもあるということか？

「この病気のひとつの見解として、僕の場合、投げる動作によって負荷がかかり患部が大きくなるのではないかということです。だから除去をした今、患部がすぐに大きくなって神経を圧迫することはないし、2～3年で再発するとは考えづらい、というのが主治医の見解ですね。もちろん患部が大きくならないのが一番いいんですけど、もしかしたら早くて10～15年後にまた症状が出るかもしれない、と」

　つまり一生付き合っていく可能性もあるということか。

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