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三浦&木原「2人で1つなんだな」“りくりゅう”ペアが明かす日本勢初グランドスラムまでの道のり「1人で行けるのに付いてくるんです」
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byWataru Sato
posted2023/04/20 17:01
GPファイナル、四大陸選手権、世界選手権をすべて制して、日本勢初となる年間グランドスラムを達成した三浦璃来と木原龍一
「私は一人で行けるって言うんですけど、付いてくるんです」(三浦)
「三浦さんを一人で行かせたら、診察結果をあとで聞いても説明が分からないので。それに、東京で電車を間違えそうだったから」(木原)
改めて感じた「2人で1つなんだな」
まるで保護者のように三浦を心配する。自身は地元名古屋のリンクで、自主練習を続けた。スケーティングやジャンプの確認、そして一人での曲かけ練習。
「僕たちって『2人で1つなんだな』ということを改めて感じました。このチームを組んでから長期離脱は初めてのことだったので、2人で滑れる楽しさは本当にありがたいことなんだなと思いました」
練習を見に来た三浦も同じ気持ちだった。
「プログラムを一人で滑っているのを見て『ああ、私はいま、そこに居られないんだな』って……」
三浦がちょっとしんみりした口調になると、木原が間髪入れず突っ込む。
「中京大で僕がカーディオトレーニングしている時に、『走れ~』って言ってたよね」
「そんなこと言ってない(笑)。『頑張れ~』って言ってたの」(三浦)
時に落ち込んでしまいそうな状況も、冗談の掛け合いで乗り切った。
ネガティブな気持ちになるなら練習しないほうがいい
しかし9月上旬にトロントに戻ってからは、理想と現実の差に焦るばかりだった。
「技の練習をずっと出来なくて、不安しかありませんでした」(三浦)
三浦は自分を責め始めると、出来なかった技をいつまでも繰り返す。躍起になって練習していると、木原が声をかけた。