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風間八宏「日本サッカーは欧州を追いかけるのをやめて、発明すべき」名伯楽が挑む“トガった指導者養成”「プレー経験がない人にもチャンスが」

posted2023/04/16 11:00

 
風間八宏「日本サッカーは欧州を追いかけるのをやめて、発明すべき」名伯楽が挑む“トガった指導者養成”「プレー経験がない人にもチャンスが」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

川崎フロンターレ監督時代の風間八宏。現在は「指導者養成」という新たな次元にチャレンジしようとしている

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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Kiichi Matsumoto

 オリジナルなサッカー指導で異彩を放つ風間八宏氏。現在携わる“トガった指導者育成プロジェクト”と育成組織を含む川崎フロンターレ時代の三笘薫、田中碧、板倉滉らの若き日について聞いた。《全2回の1回目/後編につづく》

 もはやこれは偶然とは言えないだろう。風間八宏の薫陶を受けた選手たちが、日本代表で次々に躍動している。

 カタールW杯では筑波大学時代からの教え子である谷口彰悟がスペイン戦とクロアチア戦で先発し、川崎フロンターレ時代にトップ昇格させた板倉滉がグループステージ全試合に先発した。

 風間がフロンターレの監督だったときにまだ三笘薫と田中碧はユース所属だったものの、高校生だった彼らを合宿や練習に呼んで指導していた。高3の田中碧が風間にボールの蹴り方を質問し、中村憲剛たちを驚かせたという「伝説」が残っている。

 名古屋グランパス時代には、早稲田大学から入団した相馬勇紀とジュビロ磐田からレンタル中だった伊藤洋輝を指導。のちに伊藤は「サッカーの楽しさを風間さんの下で再確認できた」と感謝の言葉を口にしている。

 つまりカタールW杯では、風間の教えを受けた選手が計6人いたのである。そのうち3人は風間のもとでプロデビューを飾った。

 3月に始まった第2次森保ジャパンでは、風間グランパスでトップデビューを飾った菅原由勢と藤井陽也が招集された。彼らにも風間流の「止める・蹴る」が刻み込まれている。

 そしてアンダー年代の日本代表に目を向けると、風間が技術委員長を務めるセレッソ大阪アカデミー勢が主力になりつつある。U-20日本代表では北野颯太が10番を背負い、3月のU-18日本代表の練習試合では石渡ネルソンと清水大翔がダブルボランチを組んだ。

 もちろんフロンターレ、グランパス、セレッソを中心にさまざまな育成年代の指導者たちによるところが大きく、風間はサッカーの概念(考え方・捉え方・見方)を最後の仕上げとして教えただけとも言える。だが、その概念こそがプロで特別な選手となるための肝だろう。

なぜ「風間塾セレッソ大阪養成所」の開校を決断したのか

 その名伯楽が次に挑んでいるのが指導者の育成だ。

 2020年12月にセレッソ大阪アカデミーの技術委員長に就任すると、セレッソのアカデミーとスクールの指導者を対象に講習会を月に2、3回のペースで実施。さまざまな改革が進められ、北野やネルソンが高校在学中にトップ昇格を果たした。

 ただし、「世界の誰も見たことがない選手を生み出す」という野望を実現するには、まだまだ指導者の数が足りない。そこでセレッソは「風間塾セレッソ大阪養成所」の開校を決断。5月から約7カ月間に渡って講習を行い、特別な指導者を育成する。

 いったい日本サッカーの指導には何が足りないのか? どうしたらメッシのような選手を生み出せるのか? 風間に話を聞いた。

【次ページ】 プレー経験がない人にも十分にチャンスがあります

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