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「箱根駅伝を集大成と考える選手がほとんど。しかし…」城西大監督・櫛部静二が“箱根の先”を学生に語り続ける理由「世界と戦うために」 

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加藤康博

加藤康博Yasuhiro Kato

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photograph byYuki Suenaga

posted2023/04/14 11:01

「箱根駅伝を集大成と考える選手がほとんど。しかし…」城西大監督・櫛部静二が“箱根の先”を学生に語り続ける理由「世界と戦うために」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

現在は城西大監督を務める櫛部静二氏

大学指導にも「スポーツ科学」を取り入れる理由

「スポーツ科学を指導の現場に取り入れる方法は現役時代の後半からずっと模索していました。それが形になってきた手応えがあります。日本の長距離界はこれまで走行距離に頼るトレーニングが主流でした。昔はそれで結果が出ましたが、今、世界のトレンドはそこにはありません。トップ選手は科学を駆使した高強度のトレーニングを計画的に行っています。

 かつて長距離の世界では必要ないと言われていたウェイトトレーニングもスピード強化のために今は一般的となりましたし、世界に追いつくためにはそうしたことが必要なのです。大切なのは古い考えに固執するのではなく、常に新しい方法を学び、取り入れていくこと。大学での指導は4年間だけではありますが、世界と戦う基礎作りをするために、常にチャレンジを続けたいと思いますし、その必要性を発信していきたいと考えています」

 2016年リオデジャネイロ五輪10000mにOBの村山紘太(現GMOインターネットグループ)が出場し、同じくOBの山口浩勢(現加藤学園高校陸上部顧問)は東京五輪での3000mSC出場を目指し、卒業後、自ら櫛部の指導を求めて、城西大学でトレーニングを積み、その日本代表の座を勝ち取った。

「私も駅伝の魅力に取りつかれた人間ですが、やはりオリンピックはそれ以上の興奮があります。教え子がそこで走れることは何よりの喜びなのです」

 世界を目指す話をするときの櫛部はいつも笑顔だ。

 オリンピックの舞台に選手として立つことはできなかったが、指導者となった今もその夢は変わらない。箱根駅伝の先のストーリーを選手とともに紡ぐべく、奮闘する毎日だ。

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「悲劇の主人公のような扱いは嫌でした」箱根駅伝2区で大ブレーキ、櫛部静二が明かすアクシデントの“その後”「自分のために走ろうと決めた」

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