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「大谷翔平は最後まで野球少年だった」WBC決勝で投げた“魂の15球”…本人が語り続けた“二刀流の誇り”「子どもの頃と一緒なんですよ」
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byGetty Images
posted2023/03/22 17:15
WBC決勝戦では9回抑えで登場するなど、二刀流を貫いた大谷翔平。勝利後に見せた表情は、“野球少年”そのものだった
「大谷、大谷と言われても、小さな枠組みの中の話で…」
〈名言2〉
大谷、大谷と言われても、そんなの、それこそ小さな枠組みの中の話で
(大谷翔平/Number900号 2016年4月14日発売)
9回、マウンドに上がった大谷は併殺で2アウトを取る。そして最後のバッターとして向かい合ったのは、エンゼルスのチームメイトであり、大谷が尊敬してやまない大打者マイク・トラウトだった。運命の巡り合わせには驚かざるを得ない、美しい展開。最後は渾身のスライダーで、大谷はトラウトから三振を奪い切った。
大谷は野球を始めた幼少期から、ずっと勝ち続けてきた選手ではない。小学生の頃は全国大会への出場の切符を逃し、その悔しさを糧に成長し続けた。その時に抱いたのは「もっともっと上がいるんだな」という思いだったという。
感動的だった“声出し”「今日は僕たちは超えるために来た」
時を経て、プロに上がり、“二刀流”の鳴り物入りでメジャーリーグへ。エンゼルスに入団した2018年の大谷が語っていたのは、トラウトをはじめとした、チームメイトへの“尊敬”だった。
「ウチ、すごいので(笑)。トラウト選手も、見ただけですごいでしょ。(中略)野球やっていてものすごく楽しいし、ベンチで見ていても楽しい。そんなの、すごく幸せじゃないですか」
さらに上へ、さらなる高みへ――。常におごらず、過信せず、周囲から学ぶ姿勢を忘れない。そんな大谷が、決勝戦前の“声出し”で見せた「憧れるのを辞めましょう。今日は僕たちは超えるために来た。トップになるために来た」という演説は、感動的でさえある。
トラウトに投げた最後の一球。そこには大谷の尊敬と決意が、込められていたのかもしれない。