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「ヨシダが世界へ向けて自己紹介」死闘メキシコ戦の吉田正尚HRが大絶賛…WBC準決勝の“リアル現地報道+球場の雰囲気”とは 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byNaoya Sanuki

posted2023/03/26 11:01

「ヨシダが世界へ向けて自己紹介」死闘メキシコ戦の吉田正尚HRが大絶賛…WBC準決勝の“リアル現地報道+球場の雰囲気”とは<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

日本vsメキシコでは吉田正尚が現地で大絶賛されたようだ

キューバを取り巻く“マイアミの異様な雰囲気”とは

 アメリカが攻守にキューバを圧倒したが、その一方で昨年末にソフトバンクを退団して現在は所属チームがないデスパイネに4番を託すなど、かつてに比べてキューバ選手のレベルが低下していたのは明らか。また、選手たちはマイアミに住むキューバ人たちによるキューバ政府への抗議活動との板挟みになっていた面がある。

 マイアミには世界最大のキューバ人コミュニティがあり、スタンドを埋めた観衆の約6割がキューバ人。序盤は、アメリカ人ファンを遥かに凌駕する熱量で応援していた。その一方で、「リベルタ!」(キューバに自由を)、「パトリア・イ・ビーダ!」(祖国と命。2021年7月にキューバで起きた反政府運動の際に掲げられたスローガン)のコールが繰り返し起こり、試合の終盤には3度に渡ってキューバ人ファンが国旗を掲げてフィールドに乱入するなど、野球の試合であると同時にキューバ政府への抗議の場となっていた。

 このような異様な雰囲気が、キューバ人選手の心理にネガティブな影響を与えていたのではないか。

 中盤までに勝負の行方が決まったワンサイド・ゲームで、後半は緊張感に欠ける展開となった。一方、日本は準決勝でメキシコに大いに苦しめられながら、劇的なサヨナラ勝ちを収めた。決勝は日本にとって完全アウェーとなることが決まったが、勢いの点では負けていない。そう感じさせるだけの現地の空気感があった。

「帽子を取って観衆の声援に…」との振る舞いも報道

 明けて翌日、日本vsメキシコを中継した「フォックス・スポーツ」の電子版は 「日本が準決勝でメキシコを失神させ、アメリカとタイトルを争う」の見出しで日本vsメキシコを激賞した。

「ホームランの掴み取り、見事なピッチング、数々のファインプレー、同点スリーラン本塁打、反撃、耳を劈くような歓声と興奮……。これらすべてが詰まっていた」として試合そのものを称賛した。

「日本先発の佐々木朗希は素晴らしい投球をしていたが、4回、走者2人を置いてルイス・ウリアス(ブリュワーズ)にスリーラン本塁打を浴びた。一方、日本打線はメキシコ先発のサンドバル(エンゼルス)にほぼ完璧に抑えられた」

「ようやく7回、日本は吉田正尚のスリーラン本塁打で同点とするが、メキシコは8回、ベルトゥーゴ(レッドソックス)とパレーデス(レイズ)のタイムリーで再びリードを奪う」

「しかし、日本もその裏、代打山川穂高の犠牲フライで1点差とし、9回裏、大谷翔平と吉田正尚を塁上に置いて村上宗隆が左中間へ二塁打を放ち、劇的なサヨナラ勝ちを収めた」

【次ページ】 「マサタカ・ヨシダが世界へ向けて自己紹介」

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