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大谷翔平「奇襲バント+絶叫71球」に見る“超負けず嫌い”「たまーにするからオモロイなと」「最後の夏、甲子園に行けなかった悔しさはずっと」
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byGene Wang/Getty Images
posted2023/03/17 11:17
侍ジャパンの4強進出に大きく貢献した大谷翔平。試合後は同僚のフレッチャーを見つけて楽しそう
メジャーでは今季から極端なシフトが禁止になったものの、昨季までは大谷のパワーを警戒して、今回のイタリア代表のような守備陣形を敷かれることが多々あった。これについて大谷は冒頭の発言を含めて、2022年のシーズン開幕前にこう語っている。
「今のままのシフトを敷かれた中で打率だけを求めるなら、セーフティバントをすればいいし、守っていないところを狙って打てばいい。でも、それじゃ、おもしろくないでしょう」
「これが優勝争いをしていて残り20試合くらいの状況とか、ポストシーズンのような短期決戦だったら逆方向を狙ってもいいし、バントヒットもいいと思うんです。ただホームランを打てるバッターが毎試合、逆方向のシングルヒットを狙うのを見ていて楽しいかと言われたら、僕は絶対に楽しくないと思うんです」
もちろん「打者・大谷」最大の魅力と言えば、どこまでも飛んでいきそうなホームランである。しかし勝利のためならシチュエーションによって……という“意外性”もまた、野球少年のような大谷らしさなのだ。
打率.286、18本塁打でも“悔しい成績”と思えるメンタル
<名言2>
数字は悪くなくても、こういう成績に対して悔しいなと思えることがいいことだったと思います。
(大谷翔平/Number989号 2019年10月31日発売)
◇解説◇
今やメジャーリーグの看板選手となった大谷。二刀流で鮮烈デビューを飾った2018年を経ての2年目は、右ひじをトミー・ジョン手術をしたゆえにバッター専念の1年となった。
そのシーズンで残した結果は打率.286、18本塁打、62打点、12盗塁。日本人メジャーリーガーとして初の快挙となる「サイクル安打」を達成した。本人の言う通り「悪くない数字」でも満足感を漂わせるどころか、まだまだ納得できないとする辺り……大谷の向上心の強さを感じさせる。
もちろん悔しがるだけではなく「去年よりも数字は下がっていますけど、それが成長につながっていないということではなくて、むしろ良くなっていると思っているんです」と、大リーグの戦術にも対応できていると手ごたえをつかんでいる。また、バッター視点で「こういうピッチャーを目指すのがいいのかな」と思う機会もあったそうだ。本気で悔しがる日々の積み重ねが、彼をさらなる進化に導いているのだろう。