黒一色で作ったコスチュームには、以前ほどではないがスポンサーの広告ロゴが入っていた。いったんはスポンサードをゼロにしたのだが「お声がけくださった方がいて」新たに入れたのだと言う。スポンサーサイドの「どうしてもとお願いした」というツイートも見た。

　こんな状況だからこそぱんちゃんを応援したいという気持ちは分かる。真剣に格闘技をやり直したいなら、誰もそれは止められない。ただイメージの問題として、今この段階で「スポンサーロゴをつけてリングに上がる」ことがどう受け止められるか。

笑顔で拳を挙げるぱんちゃん。コスチュームにはスポンサーロゴも入っていた

「“世間一般”からどう見られるか」の意識が欠けている

　実は会見からエキシビションまでの間にも、ぱんちゃんは我々を驚かせた。知人に誘われて寿司を食べに行ったとツイート。写真も載せている。エキシビションの後には、知人との食事会の模様をSNSに掲載。そこで「億トレーダー」を紹介され、投資に関する本をもらったことも報告されていた。

　詐欺事件の原因になったのが投資の失敗による多額の損失（投資詐欺も含まれるという）だとぱんちゃんは振り返っている。なのに「億トレーダー」を紹介され本をもらったと投稿する。“自虐”なのだろうが、やはり「今このタイミングなのか」と呆然とした。

　会見でも感じたことだが、ぱんちゃんには“外野”、“世間一般”からどう見られるかという意識が決定的に欠けている。知人との食事にしても、誘ってもらったのだからSNSで報告するのもお礼のうちという感覚なのではないか。普段ならそれでいいが、この時点での彼女は「詐欺事件の容疑者」であり、まだ不起訴になっていない。警察から事件に関する発言を禁じられてもいた。「寿司なんか食ってる場合か」とは言わないが、SNSに投稿しないという判断はできなかったか。反感を避けられるなら避けたほうがいいのではないか。

ぱんちゃん「どんなに叩かれても笑顔でいたい」

　スポンサーにしても、一度はゼロにするという反省の気持ちがあった。しかし新たに申し出があると断らない。またぱんちゃんは、事件の被害者が「一番のファンというくらい応援してくれています」と語った。

「毎日、励ましの言葉をいただいて。今日（エキシビション）も来てくださって。“どれだけ批判されても笑っていてください”と言ってもらえているので。どんなに叩かれても笑顔でいたいなと」

エキシビションを終えたぱんちゃん。涙を浮かべ、対戦相手とファン、関係者への感謝を口にした

　他ならぬ被害者がそう言っているんだからいいじゃないか。そんな思いは筆者にもある。しかし彼女は「KNOCK OUTファンのみなさま、格闘技ファンのみなさま」にも謝罪している。そのあたりがどうにもチグハグなのだ。

　反省はしている。お詫びして出直すという気持ちもある。格闘技に対する気持ちも真摯なものだ。被害者や大会関係者、スポンサー、土木ネキへの感謝の気持ちも疑いようがない。けれど、なぜかところどころで「うかつ」としか言いようがない姿を見せてしまう。

　エキシビションを終えた心境を、ぱんちゃんは「ヤジがあって当然だと思っていたので、会場（の雰囲気）が温かすぎて、ありがたかったです」と表現した。

「いろんな気持ちがありました。1年ぶり（のリング）で緊張もしたし力んでもいたし。一番は感謝が大きかったです。当たり前のことではないので」

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