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村上茉愛(26歳)は元体操選手の男性と結婚…“アスリート同士の結婚”はなぜ多い? 当事者夫婦たちに聞いた「気持ちが分かりすぎる部分も」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/03/01 17:30
東京五輪でのメダル獲得など、体操選手として輝いた村上茉愛。先日、元体操選手でトレーナーの男性との結婚を発表した
アスリート同士の結婚が多いのは「狭い世界だから」か?
他の競技を見渡せば、同じ競技のアスリート同士の結婚はより多くの例がある。
例えば陸上では短距離のエースだった伊東浩司と世界陸上マラソン金メダリストの鈴木博美の夫婦、競泳では世界選手権メダリストの細川大輔とロンドン五輪で2つのメダルを獲得した寺川綾など。
異なる競技間での結婚も数多い。
陸上短距離の朝原宣治とシンクロナイズドスイミングで活躍した奥野史子。オリックスや巨人で活躍したプロ野球の谷佳知と柔道金メダリストの田村亮子もそうだ。
同じ競技同士、異なる競技、いずれのケースでもここに記載したのは一部であって、枚挙にいとまがない。
活躍したアスリート同士ならどうしても目立つし、どの世界でも同業者の結婚は珍しくないが、スポーツ界ではその例がより多いと言えるだろう。
むろんスポーツ界が「狭い世界だから」という指摘もあながち外れてはいない。他の分野の人と知り合う機会も少ないし、特に大会や合宿で遠征の多い競技ならなおさら時間を共有するのは同じ競技の人ということになる。
アスリート夫婦、当事者たちに聞いた「結婚の理由」
しかしさらに深く考えると、別の要素にも行き当たる。
アスリート同士の結婚を経験した選手に話を聞く中で共通していたのは、「理解しやすい」ということだった。同じ競技なら、競技に取り組む中でのメンタルのありよう、トレーニングの過程など相通じるものが多い。異なる競技であっても、オリンピックなどの目標へ向かうプロセスでの練習の日々や困難、壁にあたったときなどをすぐに把握できる――そこに共感が生まれ、葛藤や悩みもすぐ共有し励まし合える、支え合える、という趣旨の話が多かったように思える。
例えば、2度オリンピックに出場するなど日本バドミントン界を牽引した潮田玲子は、Jリーガーとして活躍したサッカーの増嶋竜也と結婚した。お互いにアスリートであることから生まれる関係をこう語っている。