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平岩優奈は24歳で…女子体操選手の“引退”はなぜ早い? 体重制限で“燃え尽きる”リスクも…指導者の意見「こういう競技なので軽やかな方が」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2023/02/24 17:15

平岩優奈は24歳で…女子体操選手の“引退”はなぜ早い? 体重制限で“燃え尽きる”リスクも…指導者の意見「こういう競技なので軽やかな方が」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

24歳で引退を表明した体操女子日本代表の平岩優奈

女子選手の引退はなぜ早い? 指導者の意見

 そもそも、体操女子選手の引退はなぜ早いのか。あるいは、なぜ若い世代が活躍する競技であるのか。

 かつて、体操の女子選手は「17歳がピーク」という言葉があった。実際に十代半ば~後半に活躍する選手が多く、オリンピックに2度出場した大島杏子が2007年、二十歳のときに「私はもうベテランなので」と笑っていたことも思い起こされる。

 若年齢が活躍する背景を、数々の選手を輩出してきた朝日生命体操クラブで指導にあたってきた塚原千恵子氏が語っていた。

「こういう競技なのでやっぱり軽やかな方がいいんですね」

 平均台やゆかなど種目はさまざまだが、自分の身体を自在に操るという点は共通する。その際、体重が軽い方が負荷は少なく動かしやすい。つまり軽やかな方がよい――その場合、女性の成長過程からすると成人に至る前の方が皮下脂肪はつきにくい。小柄で体重が軽い若年層の選手が活躍しやすい土壌があるといえるだろう。

健康面に悪影響を及ぼしかねないケースも

 このことは、別の問題も浮き彫りにしてきた。厳しい体重制限や食事のコントロールを余儀なくされることだ。

「軽い方がいい」とは言っても筋力も必要だから、筋肉があった上で体重が軽い方がいいとなると、自然と体脂肪を低くして体重をおさえることになる。そのため、体脂肪率が数%と一桁の選手も珍しくはない。

 また、栄養士やトレーナーなど専門家の協力を仰ぎつつ、無理のないようにコントロールに取り組む選手(チーム)がいる一方で、単純に体重計の数字に左右されているケースも少なくない。すると健康面にも悪影響を及ぼしかねない。

【次ページ】 過度な体重管理は、メンタル面の負荷になる

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