「猪木さんのサービス精神はスゴい」店の外で“即席ビンタ会”開催…地鶏も闘魂も燃えたアントニオ猪木の豪傑伝説「4人前を端から一気に」

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「猪木さんってすごいんです。赤いマフラーで店に入ってくると、自分の席を通り越して、中央の広いテーブル席までわざわざ行ってお客さんに笑顔で手を振るんです。『元気ですか！』って。お店は『ワー！』っていきなり大盛り上がりですよ。帰りには『ビンタをしてほしい』というお客さんもいて、猪木さんは『店の中でビンタやるわけにいかないから、外でやろう』と。ビンタが始まると人垣ができてしまいました（笑）。あのサービス精神はすごかったですね」

　東京の港区白金にある九州地鶏もも炭火焼き『鳥亭』の店主・猿渡久徳さんは、アントニオ猪木の印象をそう語った。

『鳥亭』の店主・猿渡久徳さん

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馬のレバーが大好物「4人前、持ってきて」

「24歳から35歳までずっとオーストラリアで宝石の仕事をしていたんですが、日本に戻ってきて、ここ白金に店を出すことにしたんです」

　1999年11月、猿渡さんは『鳥亭』をオープンした。

「もう50年くらいになりますが、兄が熊本で『鳥亭』の本店をやっています。私も、人との出会いをたくさん作れる場所を東京に作ろう、と。当時、白金はまだ殺風景でした。この場所を見つけて、オーストラリアの友達や一緒に住んでいた大工さんも来てくれて、3、40人に手伝ってもらって自分たちで店を作ったんです。いろいろなものを運び込んで、みんなで作業して、2か月半くらいかかりました。厨房はプロに頼みましたが、テーブルも椅子もみんな手作りで、店内はほぼ当時のままです」

東京・港区白金にある九州料理『鳥亭』の外観

　猪木が1998年に現役を引退して、UFOなる団体を作ってまもなくの頃だ。UFOの事務所が、店の近くにあった。

「最初は猪木さんの弟の啓介さんのグループがよく店に来ていました。一緒にイベント企画をやっていた人たちも来ていましたね。それから佐山聡さんが来ました。佐山さんはお酒を飲まないけれど、大きいコロ焼き（鶏の炭火焼き）を5人前も食べるんです。カラオケの歌がすごく上手でした。猪木さんが店に来たのは、それからしばらく経ってからでした」

馬刺しの盛り合わせ。三角バラ、フタエゴ、タテガミ

　猿渡さんは懐かしそうに振り返る。

「猪木さんはコロ焼きが好きで、馬刺しも必ず食べていました。馬のレバーも大好きでしたね。端から豪快に箸ですくい上げるんです。元気な時は『4人前、持ってきて』って」

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