野球クロスロードBACK NUMBER
「慶應のエルドレッド」と騒がれて…“取材が苦手だった”元楽天・岩見雅紀が明かす“なぜ活躍できなかったか?”「まあ、あえて言うなら…」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKYODO
posted2023/02/20 11:04
昨年、楽天から戦力外通告を受けた岩見雅紀。年末のテレビ番組出演、そしてスカウト転身の裏側を語った
187センチ、108キロの巨体を生かしたパワフルなバッティング。豪打が売りの岩見は、2017年のドラフト会議で楽天から2位指名を受けた。直後に終わった4年秋のリーグ戦で7本のホームランを放ち、通算では東京六大学リーグ歴代3位となる21本を記録。パフォーマンスや数字、2位指名という結果を見れば、マスコミが騒ぎ立てるのも頷ける。
そんな渦中においても、岩見は自分の評価を冷静に受け止めていた。
「期待は周りが勝手にしますから。僕としては評価されているのはパワーだけで、バッティングの繊細さも守備に対する評価もされていないってわかっていました。でも、ドラフト2位で指名していただいたってことは、それだけ楽天から評価されていたわけですから『結果を出さないと使ってもらえない』っていう気持ちではありました」
自分への客観論をひと通り述べ、岩見は最後にその根幹を呟いた。
「野球がうまいと思ったことは、1回もないんで」
プロ入り後の苦闘
1年目。皮肉にも、長距離砲の異名を冠したスラッガーから快音が消え、岩見が言っていた負の側面が的中してしまった。
24打数ノーヒット、14三振。半分以上の打席で、バットが空を切った。
原因はわかっていた。打席で低めの変化球を追いかけて空振りをとられることが多く、ストレートに差し込まれてしまいコンタクトできなくなっていたのである。試合が終わるたびに自分のバッティング映像をチェックし、改善に努めてはいたが結果が伴わない。「何も考えてない」「練習してるのか?」。そんな声も聞こえてきたが、岩見は耐えた。
「『打ちたい』気持ちと『打てる』は別じゃないですか。だから、その結果を受け入れるというか、受け止めてはいました。だからと言って、打てないことを当たり前にはしてなかったですよ。24打席まで毎打席『絶対に結果を出してやる!』と準備して臨んでいましたし。僕だけじゃなくて、プロ野球選手はみんなそうです。考えてますよ。ただ、過程より結果が大事の世界なんで、プロは」