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「ユヅの頼みなら無条件でイエス」震災追悼アイスショーも出演予定のジェイソン・ブラウンが“日本の大会”で復帰を決めた日《独占インタビュー》
posted2023/02/09 17:01
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
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まず全米選手権で試合に復帰することを決意した理由、そしていつ頃から考えていたのかを聞いてみた。
「昨シーズンは北京オリンピックに集中してトレーニングをしていました。それだけでも十分なプレッシャーだったので、このオリンピックで競技は最後なんだというプレッシャーを自分に与えたくなかった。それで先のことは決めないまま、オリンピックに挑んだのです」
ジャパンオープンが復帰の決め手に
ソチ以来8年ぶりに挑戦した北京では、複数の4回転を跳ぶ強豪たちを相手に6位入りを果たした。
「その後、少し休んでリセットする時間が必要だと感じました。ありがたいことに春から夏にかけてアメリカ、日本などで多くのアイスショーに出させてもらいました。夏のショーを終えた時点で、競技生活はもう十分だと感じるかなと思っていた。でもまだ自分の中にもっと滑りたいという気持ちが残っているのを感じたのです。10月のジャパンオープンの出場が決まった時、この大会に出てみて最終的な決断をしようと思いました。そして振付師のロヒーン・ワードと新しいフリープログラムを制作したのです」
新プログラムは、ラ・マンチャの男から「インポシブル・ドリーム」。北米チームは2位、個人としては6人中5位だった。
「ジャパンオープンはすごく楽しくて、自分の中にまだ試合に出たいという気持ちがあることを確信したのです。ただ以前のように、シーズン中、次々と試合をこなしていくのは年齢的にも厳しいと思いました。それで今シーズンは、アイスショーと試合を両立していくことができるのか、テストシーズンのつもりで挑みました」