かつて日本代表を率いた故・大西鐵之祐氏はサイズに劣る中でラインアウトを獲得するためのショートラインアウトを発明した。それまでは相手キックに備える守備要員だったFBを攻撃に投入するムーブ「カンペイ」は、1968年のニュージーランド遠征で日本代表がオールブラックス・ジュニアを破る金星に繋がった。

　そして沢木監督は、大西氏へのリスペクトを常々口にしている。

「世界がどんなラグビーをしているかだけでなく、日本が世界を相手に勝つ方法を常に考えていた。そこがすごい」

1981年関東大学ラグビー対抗戦。早明戦を終えて歓喜の輪に加わる早大・大西鉄之祐監督　©︎Sankei Shimbun 

　模倣ではなく創造。その信念がある限り、新しいプレーはまた生まれるだろう。

　ラグビーにはまだまだ可能性がある。

　それを証明してくれたイーグルスと沢木監督に、心から賛辞を贈りたい。

　また、驚くようなプレーを目撃できるかもしれない――。

　そんな期待感を胸に、僕らはまたスタジアムに向かうのだ。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。