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「熱い、熱い試合をやろうぜ」武藤敬司が内藤哲也を引退試合の相手に指名したワケ…狙うは「ムタvs.中邑」超え、11年前の因縁も
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2023/01/27 17:00
2012年1月4日の東京ドーム、内藤哲也にシャイニング・ウィザードを連発した武藤敬司。内藤は11年前のこの一戦を「完封負け」と振り返った
握手を拒んだ理由を内藤はこう語っている。
「あそこで握手するようなレスラーにオレはなりたくないから。負けちゃったけど、最後まで意志は貫いたかなと。オレはそういうプロレスを見て、憧れて、プロレスラーになろうと思ったから。小さい子に『内藤みたいなレスラーになりたい』『内藤を見てプロレスラーを目指すようになりました』って、10年後、20年後、言われるようなレスラーになりたいな」
武藤が熱望する「ムタvs.中邑」を超える戦い
内藤がこの時に願っていた「武藤も棚橋もできた29歳でのIWGPヘビー級王座戴冠」は、足のケガもあって大きく遅れてしまった。しかし2015年のメキシコ遠征を経てオリジナルなキャラクターを確立すると、2016年4月にオカダ・カズチカからIWGPのベルト奪い、2020年1月にも再びオカダから奪還。同年8月にはEVILを倒して3度目の戴冠を果たした。
「確かに11年前、1月4日東京ドーム大会でのシングルマッチでオレは何もできなかった。完封負けっていうのはこういう時のことを言うんだなっていうくらい、何もできずに敗退した。ただあれから時間は経ち、オレはロス・インゴベルナブレスに出会い、あの時とは自信も、そして視野も、だいぶ違うと思うよ。なので、今の内藤哲也、今のロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの内藤哲也を存分に堪能した上で、引退すればいいんじゃないの?」
一方の武藤は、身近ゆえの“不思議なジェラシー”から、1月1日のグレート・ムタvs.中邑真輔を超える戦いを熱望している。武藤が最後の相手に指名した理由が本当にこれだとしたら、11年という時を経て、内藤はきわめて高い評価を受けたことになる。
もちろん、内藤が狙うのは引退する武藤の首だ。最後はデスティーノなのか? あるいは11年前はかわされたスターダスト・プレスを狙うのか。「どちらにしても、運命(デスティーノ)に任せて」と内藤は考えているかもしれない。「トランキーロ、あっせんなよ」が聞こえてきそうだが、あえて少しだけ煽らせてほしい。
どうする内藤哲也? 大好きな東京ドームのメインイベントだぞ!
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