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大谷翔平の遠慮なし“ツンデレ発言”→ピリピリ空気が一変…WBC会見後、舞台袖の会話に見た栗山監督との“リアルな師弟関係”
posted2023/01/07 17:01
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Nanae Suzuki
主役の登場に、カメラのフラッシュが一斉に光った。都内で行われた野球日本代表「侍ジャパン」の記者会見。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた代表発表の席に大谷翔平は、ペコリと頭を下げながら待ち受けるテレビカメラ15台、報道陣約120人の前に姿を現した。紺色の代表ユニフォームからのぞく腕は筋肉が隆々と浮き上がり丸太のよう。一段とパワーアップした体躯に、記者の間から思わず「デカい……」の呟きが漏れた。
「翔平」呼びを封印。その裏に…
二刀流のスーパースターが日本で記者会見に登場するのは、昨年11月に日本記者クラブで行われた帰国会見以来。メディア側に事前に大谷の出席は伝えられていたものの、実際に登壇するまでは情報解禁NGという“厳戒会見”だった。
ピリピリとした空気をまとっていたのは日本代表・栗山英樹監督も同じだ。WBC代表30人のうち大谷やダルビッシュ有、鈴木誠也らチームの核となる12人を先行して発表するという初の大仕事。大谷登場に先立って行った単独の会見では、「全力で頑張ったら良いということではなく、必ずや世界一になって皆さんに喜んでもらう」と厳しい表情で決意表明。日本ハムの監督時代から面識のある選手は記者の前でも愛情を込めてファーストネームで呼ぶのが“栗山流”だが、この日は「ダルビッシュ投手」、「大谷選手」などと口にし、慣れ親しんだ「翔平」呼びも封印したほどだ。
目指すは2009年の第2回大会以来の世界一。メジャーリーガーも参集するドリームチームを率いてとなれば、重圧は想像を絶するほどだろう。そんな指揮官の緊張を解いたのは、他ならぬ愛弟子の言葉だった。
「優勝だけ目指して、勝つことだけ考えていきたい」
並んで座った大谷が意気込みを語り始めると、思わず頬が緩む。
「日本のトップの選手たちが一つのチームで他の国のトップ選手と対戦するのを見るだけでもワクワクしていたので……」