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「通勤電車に乗るのも初めてで…」プロ野球選手→不動産の営業マン、武藤祐太33歳が明かす“引退からの1年”「目標は現役時代より稼ぐこと」
posted2022/12/28 11:03
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Yuki Suenaga
「自分で決めた道なので、ここで花を咲かせたい。この世界で“エース”になるというか『武藤がんばってるな』と思われたいし、それはプロ野球でやっていたときもしかり、どこへ行っても一緒だなって」
現役引退をして一年の月日が経った。中日ドラゴンズと横浜DeNAベイスターズで投手として活躍した武藤祐太は、晴れ渡った冬空の下、ビシッとしたスーツ姿でそう言った。
ベイスターズでダメだったら潔く辞めよう
現在武藤は、横浜市内にある不動産・建築関係の会社で営業マンとして忙しい日々を過ごしている。
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「バスと電車を使っての通勤も初めてのことでしたし、最初はパソコンの電源を点けるところからでした。日々勉強ですね。まあ正直、大変なときもありますよ。営業先で門前払いをされたり、怒られたりすることも少なからずあるので……」
苦笑しながら武藤はそう語った。しかしそこには不満などは感じられず、充実した風情が感じられた。
2010年のドラフト会議で3巡目指名を受け、ホンダから中日に入団。力強いストレートと切れあるシュートとフォークを武器にした右腕は、中日時代の2013年にリリーフとして58試合を投げるタフネスぶりを見せたが、2017年に戦力外通告を受けてしまう。「まだやれる」と執念を燃やし合同トライアウトを受けようとすると、幸いDeNAから声が掛かった。最初はビハインドでの場面が主な仕事だったが、要所を締めるピッチングで首脳陣の信頼を得て、2019年にはセットアッパーまで任されるようになった。
だがDeNAに来て4年目となる2021年シーズンの秋ごろ、武藤は2度目の戦力外通告を言い渡されてしまう。その通達を武藤は、抵抗することなく受け入れた。
「僕自身、ベイスターズに移籍したとき、ここでダメだったら潔く辞めようって思っていたんです。それは家族にも伝えていたし、とにかく後悔がないように一年一年をがんばって積み重ねていくだけ。ですから素直にもう現役引退しようって」