「今回は（主にスターダム以外の団体に参戦している）ウナギ・サヤカちゃんにリング練習を手伝ってもらいました。やったのは主に受身ですね。ウナギちゃんに投げてもらったり打撃を打ってもらって受身を取る。1人で受身を取るより実戦的なんです」

　その立ち位置は独特と言うしかない。日本に戻り、スターダムに参戦するようになったが所属選手ではなく、といって“外敵”でもない。むしろ「スターダムの選手の試合は会場の最前列で見ちゃうくらい好き」だ。

「どの選手も魅力的だし、リスペクトがあります。その中で毎回、どんなテーマを見出すかを大事にしてますね。この相手とだったら何をぶつけ合うのがいいんだろうって。そういう自己プロデュースに関しては、アメリカ時代よりも考えてます。自分の価値を下げたくないですし。自分をここまで育ててくれたロッシー小川さん（スターダム創設者、エグゼクティブ・プロデューサー）とトリプルHさん、どちらからも誇りに思ってもらえるように、やり方を工夫しながら少しでも大会を盛り上げられるようなレスラーになりたいです」

岩谷麻優とのIWGP女子王座戦。フィニッシュとなったインセイン・エルボー　©新日本プロレス

自己分析は「担任の先生なのか、転校生なのか（笑）」

　スターダムの選手たちは闘う相手であり、同時に試合と大会を作り上げる仲間でもある。「こっちが勉強になることもありますし、お互い情報をシェアしたり、高め合っていけたら」とKAIRI。ことさらに大物感を出すことも、先輩風を吹かせることもない。

「スターダムの選手はみんな真面目で、何よりもプロレスのことを一番に考えて生きてますね。控室でみんなの話を聞いていると“青春だなぁ”って感じがします。キャッキャしてるところもあるし、女子校みたいで。私もたまに話に入ったり、試合の感想を聞きにきてくれることも。私の立場は……どうなんだろ。担任の先生なのか、転校生なのか（笑）」

　12月29日のビッグマッチ、両国国技館大会では前ワールド・オブ・スターダム王者の林下詩美と対戦する。トップ選手との試合が続いているが「個人的には伸び悩んでる選手ともやってみたい」そうだ。

IWGP戦後のインタビュースペースで対戦表明した林下は祝勝用のビールを一気に飲み干す。KAIRIの表情にも注目　©Norihiro Hashimoto

「伸び悩んだり、迷ってる選手ですね。月山（和香）さんとか向後桃ちゃんとか。上に行きたくてもがいてる選手と試合がしたいです。今まさに高橋奈七永選手が“パッション注入マッチ”という形で若手選手と試合をされてますよね。ああいう試合は、若手が殻を破る上で凄くいいきっかけになると思います。

　29日の両国で対戦する林下詩美選手は、ユニット『Queen's Quest』の冷静沈着なリーダーという印象です。彼女がこれまで見せたことのない感情を引き出す試合ができたらなって。私が彼女のクールな殻を破ってあげますよ、ふふ……」

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