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「えっ、84点?」山田邦子、カベポスター採点で視聴者が不安に…“空気を読まない”邦ちゃんが明かした島田紳助のメール「審査員が審査されるで…」
text by
ラリー遠田Larry Toda
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2022/12/20 19:40
今年からM-1の審査員に抜擢された山田邦子(写真は2020年撮影)
また、番組冒頭で審査員として紹介されたとき、隣にいた松本に対して「だいたいね、あなたがね、なんかね、いろいろね、私のことを『しんどい先輩』とか言うから」とクレームを言って、松本に「言ってない! それは『水曜日のダウンタウン』が言ってただけですよ!」と返されていた場面も良かった。
簡単に言うと、大舞台でも全く物怖じせず、好き放題に発言していたところが痛快だった。今のテレビの最前線にいるような有能な芸人たちは、場の空気を読んだ上でそれに合わせてボケたりツッコんだりする習慣が根付いている。
でも、山田は良くも悪くも空気を読まない。それは必ずしも悪いことではない。空気を読まない強さというものもある。「唯一天下を取った女芸人」と紹介されていた山田の言動には、やはり別格のスケールの大きさが感じられた。
よくよく考えてみてほしい。メッシやエムバペが空気を読む必要はあるだろうか? 天下人は自分の力だけで空気を塗り替えることができる。レジェンド芸人の山田にももちろんその種の桁違いの強さが備わっている。彼女は『M-1』の大舞台で上沼が求められていたのと同じ役割をきちんと果たしていた。
紳助の返信メール「審査員が審査されるで…」
ちなみに、山田は本番前の楽屋から自身のYouTubeチャンネルの生配信を行っていた。事前に紳助にメールで連絡して「がんばってな、審査員が審査されるで」と返事をもらったこと、勉強のために過去の『M-1』を全部見返したこと、ファイナリスト全員の予習もしたことなど、裏話を存分に語っていた。国民的行事である『M-1』の楽屋で生配信をするというのは、フワちゃんも顔負けの自由奔放さである。
また、『M-1』終了後の生配信では、物議を醸した自身の採点についても「今日はみんな平均点以上だった。ただ、私の平均点の捉え方は80点だった。常連の人(審査員)の捉え方は90点だった。だから私がちょっと辛口だったね」と、実にまっとうな感想を残している。
さらに「真空ジェシカの高齢者のネタがよくできてたなと思った。扱いにくい題材なのにすばらしいなと思った」と、彼らに最高点をつけた理由を具体的に語っていた。彼女は何もかもわかっていたのだ。
わかった上で、空気は読まず、楽しむこと、楽しませることに徹する。これはこれで超一流のエンターテイナーの仕事だった。邦ちゃん、来年もぜひよろしくお願いします。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。