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「山田邦子って誰?」テレビから“消えた”30年間…バッシング、乳がん、M-1採点で賛否、山田邦子62歳とは何者か?「あの伝説的番組が終了した事情」
posted2022/12/21 11:02
text by
近藤正高Masataka Kondo
photograph by
KYODO
漫才日本一を決める「M-1グランプリ2022」決勝が12月18日行われた。今年の決勝では、昨年をもって審査員を退いた上沼恵美子とオール巨人の後釜に誰が入るのかが注目されていた。1週間前の12月11日、ひとりが5年ぶりの復帰となる博多大吉、そしてもうひとりは山田邦子と発表され、とくに新たに加わった山田が一躍脚光を浴びることになる。
審査員就任の発表後には、SNSではおそらく若い世代からだろう「誰?」という声も上がった。じつは山田はそうした反応を、YouTubeに自分のチャンネルを開設して以来受けており、そのたびに「山田邦子です。以後よろしくお願いします」と返してきたという。今回の決勝でも番組冒頭で審査員として紹介された際、話の途中で思い出したように「……あ、私、山田邦子です」と挨拶していた。
テレビから“消えた”30年間、何をやっていた?
山田がゴールデンタイムに自分の名前を冠したテレビ番組をいくつも抱えていた時期はすでに30年近くも前だから、若い世代が知らないのは無理もない。もっとも、山田邦子はけっして過去の人ではない。YouTubeなどネットで積極的に発信を続ける一方、芸も磨き続けてきた。40歳をすぎてから三味線、続けて長唄の稽古を始め、2019年、58歳にして名取となった。本業のお笑いでも、同年に新宿末廣亭に出演、また翌2020年には『笑点』の演芸コーナーに初出演した。
山田は誰か師匠についてお笑いの世界に入ったわけではない。それだけに、新宿末廣亭への出演で、芸歴39年にして初めて演芸場の舞台に立ち、ようやく「芸人」の仲間入りができて一人前になった気がしたという(山田邦子『生き抜く力』祥伝社新書)。
「テレビ出演がバレたら退学」
お笑いは子供のころから好きだった。幼稚園・小学校時代をすごした東京・森下町の近くにあった人形町末廣にはよく連れて行ってもらい、「昭和の爆笑王」初代・林家三平の客いじりも体験した。ザ・ドリフターズの人気番組『8時だョ!全員集合』の公開放送もたびたび見に行き、1974年にはグループから荒井注が脱退し、志村けんが正式なメンバーになった回に立ち会ったという。