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エディー・ジョーンズ電撃解任の余波…やはりリミットは「4年」なのか?「明朝までに仕上げて欲しい」周囲を疲弊させた“ハードな宿題”
posted2022/12/16 17:27
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Itaru Chiba
先週から今週にかけ、世界のラグビー界の話題は、この人が独占した。
エディー・ジョーンズ。
12月6日、イングランド協会がW杯まで9カ月という時点で電撃解任。来年2月には伝統のシックスネーションズが待っているが、16日現在、まだ後任は決まっていない。
私は2015年、エディーさんに連続インタビューし、『エディー・ジョーンズとの対話——コーチングとは「信じること」』を書いただけに、複雑な思いがある。
イングランド協会と「いい別れ方」が出来なかったなということ、そしてもうひとつ、これでイングランドのワールドカップ優勝が遠のいてしまったのではないかという漠然とした予感がする。
イングランド・メディアもこう書く。
「エディー・ジョーンズには、W杯でイングランドを優勝に導く可能性があることは否定しない。しかし、現状を耐え、彼をかばう体力がイングランド協会にはない」
国内クラブの財政不振、そしてコロナ禍による経営の圧迫はイングランド協会も例外ではない。W杯が間近に迫っていながら、イングランド協会にためらいはなかった(反対に、ニュージーランド協会は歴史的に解任に臆病だ。根が優しいのか、幹部が保身に走っているのか微妙なところだ)。
後任の有力候補には、2015年の日本代表、エディー体制でのFWコーチであり、その後、彼に従ってイングランド代表のコーチを務め、現在はレスター・タイガースのヘッドコーチで結果を残しているスティーブ・ボースウィックの名前が挙がっている。
ワラビーズの監督に就任との噂も?
そして週明け、今度は情報発信源が南半球に移る。
オーストラリアのメディアは、一斉にエディーさんのオーストラリア代表、ワラビーズの監督就任の可能性について言及し始めた。
FOXスポーツの電子版には、エディーさんのこんな言葉が紹介された。
“Nothing is off the table.”
あらゆる可能性は排除されない。つまりは、どんなことでも起きる可能性があるということだ。
噂は飛び交う。今年14戦してわずか5勝のオーストラリア代表のヘッドコーチ。そしてまた、13人制の「ラグビーリーグ」のクラブのヘッドコーチ就任の噂もある。
いずれにせよ、近いうちに再び、ヘッドラインに「エディー・ジョーンズ」の名前が走ることになるだろう。