熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
天才メッシを「陰気な小男」扱い…宿敵ブラジルの“嫌悪と畏敬”「ネイマールは足元にも及ばない」「最大の欠点はアルゼンチン人なこと」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/12/18 11:03
クロアチア戦で圧倒的な存在感を見せたメッシ。アルゼンチンにとって永遠のライバルであるブラジルではどう見られているのだろうか
母国アルゼンチンにおいてですら、彼が13歳にしてバルセロナの下部組織へ入団し、以後もスペインに住んだことで――当初は「アルゼンチン人じゃない。スペイン人だ」と言われた。代表戦でアルゼンチン国歌を歌わなかったことから「国歌すら知らない」と非難されたこともある(注:2019年以降、歌うようになった)。
彼のおとなしくて内気な性格は、南米では誤解を招きやすい。とりわけ、ブラジルでは「陰気な小男」というイメージを持つ人が多かった。
しかし、W杯カタール大会で彼が超人的なプレーを連発し、準々決勝でブラジルを下したクロアチアを準決勝で叩き潰す立役者となったことで、ついに誇り高きブラジル人たちもメッシの前に首を垂れた。
メッシの超人的プレーは期待する。しかし…
18日に行なわれる決勝で、アルゼンチンはフランスと激突する。天才メッシがまたしても驚異的なプレーを披露して自身初、アルゼンチンにとっては36年ぶり3度目の優勝を遂げるのか、あるいはもう1人の天才キリアン・エムバペを擁するフランスがアルゼンチン守備陣を蹴散らし、2大会連続、通算3度目の優勝を飾るのか。
ブラジル人たちは、メッシの力量は十分に認めている。かと言って、宿敵アルゼンチンの優勝を願う気はさらさらない。アルゼンチン人たちが歓喜に浸る姿など、絶対に見たくない。もしそんなことになったら、セレソンが準々決勝で敗退して負った心の傷がさらに深まる。
それゆえ、決勝では密かにメッシの超人的なプレーを期待しつつ、エムバペの美しいゴールとフランスの勝利を切望するのである。
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