ヘアマン　日本戦とスペイン戦はもちろん相手の特徴も狙いどころも違います。日本はドイツの両サイドを突く狙いで攻めてきましたが、スペインは特徴でもあるパス交換からセンターをこじ開けようとしてきます。

　そのためギュンドアンをトップ下の位置、そしてゴレツカとキミッヒをダブルボランチで同時に起用したのは正解だったと思います。守備バランスを取りながらプレーできる選手が3人中盤センターにいることで崩されることなくゲームを進めることができたのが大きかったですね。

コスタリカを相手に点を取るのは至難の業です

――数字上の話をすると、ドイツはコスタリカに8-0以上で勝利したら、日本-スペインの結果に関係なく決勝トーナメント進出を決めることができます。コスタリカ戦はどのような狙いをもって試合に入ると予想されますか？ 

ヘアマン　流石に8-0で勝つことを目標に試合に入るとは思ってはいません。現実的ではなさすぎる。コスタリカを相手に点を取るのは至難の業です。日本もそうでしたよね。最後までこじ開けることができなかった。今の状況はスペインがコスタリカに大勝したことで生じた問題ですし、そうすることでしか自力突破の可能性がないのは確かですが、でもドイツ代表として目標とすべきは試合にしっかりと勝つこと。そしてスペインが日本に引き分け以上の結果を出してくれることを祈るだけです。

――今のグループリーグにおける状況は2018年ロシアW杯の時と非常に似ていると感じています。あの時も初戦のメキシコとの試合を落とし、2戦目のスウェーデン戦を終了間際にトニ・クロースのゴールでなんとか勝利し、3戦目韓国に勝てば自力突破としながら、韓国戦を落としてグループリーグ敗退となりました。今回もそうした展開になることもありうると思いますか？

ヘアマン　そうなる可能性だってあります。序盤に上手くゴールが取れて勝利に持ち込めるかもしれないし、中々得点を挙げることができずに70～80分近くまで0-0で試合が進むことだってありえます。そうなると選手は当然少なからずナーバスにもなるでしょうし、是が非でもゴールが必要なのでDFが攻めあがったり、後ろの選手と交代でオフェンシブな選手をどんどん投入せざるを得なくなるかもしれません。その結果、カウンターから失点なんてことも考えられる。だから簡単な試合ではないです。難しい試合なのは間違いない。

――ではコスタリカ戦で勝利するために必要なことは？　少なくとも2-0で勝利すれば日本がスペインに引き分けた場合、勝ち進むことができます。

ヘアマン　2-0にできるかは重要です。得失点差もありますし、得点数が決定打になるかもしれません。スペイン－日本が0-0ではなく、1-1、2-2で引き分けた場合、得失点差も並び、得点数で勝負ということもあるわけですから。得点を重ねることで可能性が上がっていきます。 

――守備が固いコスタリカ相手にどうすれば得点を重ねていけるでしょうか？　スペイン戦でゴールを決めたフュルクルクのスタメン起用だけで十分でしょうか？

ヘアマン　1人ですべてを変えることはできない。フュルクルクにしてもサポートが必要なのは間違いないです。ギュンドアンかゴレツカに代えてミュラーをトップ下で起用することで得点力をアップさせたいところですね。そしてスペースが狭いながらもそこにスペースを見つけて、変化をつけられる選手として、ムシアラにはやはり期待がかかります。まだゴールを決めてはいませんが、でも彼なら2～3人のDFをかわして決定機を作り出す能力があります。

（#2「スペインの弱点は？」編に続く） 

#4に続く

「狙いどころかもしれないのは…」スペインに1-1、ドイツ記者が語る“無敵艦隊”の弱点とは？「カマダの出来も重要」「CBは好選手。でも…」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。