「私のことを嫌いな人もいる状況が健全」

　それでも、1つの言葉に動揺し、傷つく人もいる。書き込むのはごく一部だと理解していても、気持ちが追い付かないこともある。

「厳罰化されたので状況が改善されたらいいなと思いますが、それと同時に自分の身を守るために訓練していくしかないのかなって思いますね。その都度その都度、何かを言われるたびに、動揺するたびに今の2つを思い出しています」

　さらにこう続ける。

「書き込みの中には忌憚なき意見もあったりして、参考にさせてもらったりすることもあります。やっぱり意見は違って当たり前という意識もあって、全員に好かれたいという気持ちはそれこそ傲慢だと思うんですね。全員が全員、私のことを好きなのはとても気持ち悪い状況であって、私のことを好きな人もいれば、嫌いな人もいる状況が健全だと思っているので」

「メディアと誹謗中傷」の問題に大橋は…

　誹謗中傷には、メディアの問題も含まれる。安易に誰かしらの言葉を切り取る、煽情的なタイトルをつける。そうした記事がより誹謗中傷を増大させる面があるのは否めない。

　メディアに携わる1人でもある大橋は言う。

「自分の言葉に対して責任を持ちたいと思っています。台本に書かれた言葉をそのまま話すというのはもちろん大事な役回りではあるんですけれども、自分が思っていない言葉を自分の言葉のように喋る、それでは最終的には自分で責任を取れないじゃないですか。フリーランスになると自分の言葉で喋って、最終的にその責任を取る覚悟があるという状態で放送に出ることになる。自分の性格にはとても合っていることだったんですね。

『正義』を掲げて誰かをよってたかって叩く、それがSNSで肥大化していくというような傾向があるのかなと思いますが、『正義』は1つじゃない。置かれた立場によって正義はいくつもあるんだということを肝に銘じながら、大きなうねりに時に水を差せる存在であれたらと。それに対して返ってくる反応を引き受ける覚悟を持ち続けられたらと思っています」

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