フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
高橋大輔「『オペラ座の怪人』が大好きすぎるので…」新フリーで挑戦を続ける“かなだい”の現在地「3シーズン目もやって良かった」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2022/11/23 06:00
NHK杯FDの演技を終えた直後の村元哉中と高橋大輔
ズエワコーチから言われた「試合が一番の練習」
そのスケートアメリカの最終日にはエキジビションに出場後、そのまま空港に向かってカザフスタンへ。その週末のチャレンジャーシリーズのデニス・テン・メモリアルチャレンジに出場という、慌ただしいスケジュールだった。そこで日本のアイスダンスチームとして、ISU公認の国際大会で初優勝を飾った。
NHK杯では特にリズムダンスは、表情も身体の動きもスケートアメリカに比べて格段にグレードアップしていた。カザフスタンで表彰台の中央に立った経験が、自信につながったのだろうか。そう聞くと、村元がこう答えた。
「試合が一番の練習とマリナにも言われているんですが、どこで攻めてどこでセーブしてというのが、何となくリズムとか、試合を終えてわかってきたところがたくさんあったので、自信を持って滑れたなというのはあります」
結成して迎えた初シーズンの2020/2021は、パンデミックの影響でNHK杯も国内仕様で開催された。国際大会でいうなら、今回のNHK杯はまだ二人にとって7試合目にすぎない。それを考えると、7試合中3大会でメダルを手にしたのは、新チームとして上々の結果だろう。
高橋「『オペラ座の怪人』の曲が大好きすぎるので…」
1シーズン目と2シーズン目はフリー「ラ・バヤデール」を継続して滑り、今季の新フリーは「オペラ座の怪人」だ。曲を選んだのはマリナ・ズエワコーチで、二人でニューヨークまで飛んで本場ブロードウェイの舞台も見てきたという。
周知のように高橋はシングル時代の2006/2007に、やはりこのアンドリュー・ロイド・ウェバーの名曲でフリーを滑った。そのシーズンNHK杯で初優勝し、東京世界選手権で2位に入って初めて世界の表彰台に到達した思い出深いプログラムでもある。
彼の中で、現在でも二つの「オペラ座の怪人」があるのか。それとも上書きされたイメージなのだろうか。
「よく聞かれるんですが……自分の中ではそれこそ十何年も前のことで、(前のは)一人で滑っていた。今回は二人で滑っている。関連性があまりなくて、全く別なものです」と説明する。
「『オペラ座の怪人』の曲が大好きすぎるので、いつかまた滑りたいと思っていたら、こういう形で滑ることができた。前回は(当時のルールで)歌入りがダメだったので、歌入りでいつか滑りたいと思っていた。今回はそれがかなって嬉しいです」