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“W杯優勝本命”ブラジル代表選考でも批判が…「ネガティブな声を跳ね返すしかない」名SBアウベス39歳招集が賛否両論なワケ
posted2022/11/16 11:01
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
JMPA
ブラジル代表(セレソン)のチッチ監督が今月7日、ワールドカップ(W杯)カタール大会に出場する26選手を発表した。
FWネイマール、CBマルキーニョス(いずれもパリ・サンジェルマン)、ボランチのカゼミーロ(マンチェスター・ユナイテッド)らが順当に選ばれたほか、10月中旬の試合で故障してリハビリ中のCFリシャルリソン(トッテナム)、国際的には無名に近いが成長著しいCFペドロ(フラメンゴ)、2018年大会ではレギュラーだったがその後は代表での序列が低下して当落線上と見られていたFWガブリエウ・ジェズス(アーセナル)らが招集された。
その一方で、2019年コパ・アメリカ(南米選手権)優勝に貢献して一時はレギュラーだったCFフィルミーノ(リバプール)、国内のファンから待望論が多かったCFガビゴール(フラメンゴ)らは涙を飲んだ。
39歳アウベスに対して「控えとしても物足りない」の声
今回のメンバー発表で最も大きな論議を呼んだのは、39歳のベテラン右SBダニエウ・アウベス(プーマス=メキシコ)が大方の予想を裏切ってメンバー入りしたこと。招集したチッチ監督はもちろん、アウベスに対しても批判の矢が飛んだ。
その理由は、いくつか考えられる。
まず、すでに39歳で、技術的、戦術的には相変わらず高いレベルを保っているものの、スピードとスタミナの衰えは隠せないこと。今年7月にバルセロナを戦力外となったものの、プーマスへ移ってフル出場を続け、W杯出場を目指していた。
当面、右SBのレギュラーはダニーロ(ユベントス)だが、「控えとしても物足りない」と考えるメディアと国民が多かった。
また、今年8月に代表スタッフがメキシコへ飛んでアウベスのクラブでのプレー内容を確認し、そのうえで9月の強化試合への招集を見送った。このことから、大勢の人が「アウベスのW杯招集の目は消えた」と判断していた。
カフー、ロベカル、マルセロ…SB王国の中で
ブラジルは、過去、右サイドならカルロス・アウベルト、カフーら、左サイドならブランコ、ロベルト・カルロス、マルセロら錚々たる名手を生み出してきたSB王国だ。