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9歳でプロテスト合格…スターダム・AZMが“大人のチャンピオン”になるまで「“子供だから”が嫌だった」《20歳特別グラビア》
posted2022/10/18 17:02
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Takuya Sugiyama
スターダム恒例のリーグ戦『5★STAR GP』の決勝大会は10月1日、武蔵野の森総合スポーツプラザで開催された。この日はハイスピード王座を保持するAZMの誕生日でもあった。2002年生まれだから20歳。節目になる誕生日だ。
「ハタチの誕生日、なってみたら今までとぜんぜん一緒でしたね。もっとディズニーの前日みたいにワクワクすると思ってたんですけど“あれ、いつも通りだな”って。試合があったからですかね」
2ブロックに分かれてのリーグ最終公式戦、AZMは決勝進出の可能性を残していた。狙うは「誕生日に史上最年少で優勝」。ところが、鹿島沙希の丸め込み「起死回生」で3カウントを奪われてしまう。試合タイムはわずか44秒だった。丸め込みの応酬に敗れた形だ。
「自分も『あずみ寿司』という丸め込みを武器にしてるので、余計に悔しかったです。“寿司職人”として屈辱的でしたね」
「子供だから」とはもう誰も言わない
メインイベント終了後の表彰式で、AZMは敢闘賞を受賞する。4年連続での三賞獲得だ。名前を呼ばれると、大喜びしながらリングに走った。無邪気としか言いようがない笑顔だった。ただ喜びの意味は、去年までとは違っていた。今年に関しては賞をもらい、頑張りが認められて嬉しいというだけではなかった。
「鹿島沙希に負けた瞬間“終わった。やらかした……”となって。もう不貞腐れてました。今年は優勝しか狙ってなかったので。落ち込んでた分“あ、賞もらえるんだ!”って嬉しくなっちゃいましたね」
初めて出場した2019年から、5★STAR GPはAZMにとって実力と立ち位置を確認できる場所だった。
「3年前のスターダムは若手というか、大会前半に出る選手がトップ集団と試合できる機会が少なかったんですよ。だから5★STARで試合をしてみて“もうちょっとで上の人たちに追いつけるな”っていう手応えを感じられたのが大きかった」
この年、AZMは優勝した木村花からも公式戦で勝利を収めている。そして今年は、最後に敗れたとはいえ優勝候補として長丁場のリーグ戦を闘い抜いたのだ。AZMが鹿島に敗れた瞬間、場内は大きくどよめき、そして沸いた。明らかに番狂わせに対する反応だった。もう誰も彼女のことを「子供だから」とは言わないだろう。
9歳でプロレスラーに
AZMがスターダムのプロテストに合格し、プロレスラーとしての資格を得たのは2011年。つまり9歳の時だ。