ドラフト前は“不作年”もベスト10に…

　ここで冒頭で触れた「“不作”といわれた年は実際に好成績を残す選手が少ないのか？」に話を戻す。結果的に、前評判の高くなかった1989年は“大豊作”で7位にランクイン。

　他にも、1988年は1位候補である慶應大学の志村亮、NTT四国の渡辺智男、プリンスホテルの石井丈裕が拒否を打ち出していたため、〈「今年のドラフトは人材不足」―各球団スカウトの一致した見方だ〉（1988年11月24日『朝日新聞』）と書かれていた。それでも実際は、歴代最多出場を誇る谷繁元信、大卒7人目の2000安打を達成した野村謙二郎、ドラフト外で投手から野手に転向して2432安打を積み重ねた石井忠徳（琢朗）などを輩出して6位に。

1988年ドラフト1位・谷繁元信 ©BUNGEISHUNJU

　同様に、下馬評の芳しくなかった1993年は多くの高卒選手が大成。西武3位の松井和夫（稼頭央）やロッテ7位の福浦和也が2000安打を達成し、巨人3位で日米合算815登板の岡島秀樹、オリックス1位で移籍先の中日でもフル回転した平井正史がリリーフとして成功し、全体5位に輝いた。

　後編では、ドラフト「本当の豊作年・不作年」ランキングの下位を見ていく。《つづく》

※敬称略、名前（入団後に変更のケース多数）や所属球団はドラフト当時。成績は2022年シーズン終了現在

参考文献：『ドラフト50年の物語 〜クジに左右された「光と陰の野球人生」〜』（竹書房）、『季刊Baseball Times ドラフト徹底解剖2022年Autumn号』（エス・アイ・ジェイ）、日本野球機構（NPB）オフィシャルサイト、日刊スポーツ、スポーツニッポン、報知新聞（スポーツ報知）、サンケイスポーツ、デイリースポーツ、東京中日スポーツ、週刊ベースボールONLINE、三井ゴールデン・グラブ賞公式サイト

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