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「藤井聡太竜王が“初手・お茶”じゃなくて水!?」「永瀬王座vs豊島九段はバチバチな名勝負」観る将マンガ家が描く“9月の将棋名シーン”
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byNanae Suzuki/Junsei Chida
posted2022/10/01 06:00
観る将マンガ家が描いた「2022年9月の将棋ハイライト」。過去のイラストは関連記事からご覧になれます!
里見女流五冠の研究パートナーということもあって、“里見さん応援モード”だったのと、菅井八段だからこそ知り得る研究会での話なども面白かったです。
その菅井八段ですが、順位戦で存在感を放っています。8月10日に藤井五冠に勝利したのに続き、9月7日には永瀬拓矢王座にも勝利! タイトル保持者に連勝しました。2017年に王位を獲得し、平成生まれ初のタイトルホルダーとなった菅井八段も、やはり名うての実力者だなと感服するばかりです。
2)藤井五冠の王位4連覇+タイトル10期と「初手・お水」
さて順位戦では菅井八段に敗れた藤井竜王ですが、9月の戦いでは公式戦5連勝と強さを見せました。その中で5、6日に行われた王位戦第5局では豊島将之九段に128手で勝利し、4勝1敗で王位戦3連覇! 通算タイトル10期の史上最年少記録を更新しました。
これまでの記録だった羽生善治九段の23歳4カ月(そもそもこの記録も恐るべしですが……)を3歳以上も上回る20歳1カ月でのスピード達成。その羽生先生とは23日の将棋日本シリーズで久々の公式戦対局が実現したのも、将棋ファンにとってはアガる出来事でしたね!
そしてこの対局で思わぬ注目を集めたのは、「初手前の初手飲み物」です。
藤井竜王といえば対局前にマスクを外し、横においてあるお茶を一口飲むのがワイドショーなどでもおなじみの光景となっている中で、今回は「お水」! ただ、冷静になると、これだけザワつくのもすごい話ですが(笑)、それだけ藤井竜王の深遠な将棋の世界とともに、一挙手一投足に注目したくなるスター性があるという証拠なのかなと。
そのほかの公式戦を見ると、いわゆる「藤井世代」の伊藤匠五段との公式戦初対決になったNHK杯で勝利し、初戦突破を果たしました。解説を渡辺明名人が務めるなど豪華な面々で、地上波テレビ放送で将棋が見られるという非常にありがたい時間でした。
昨年は深浦康市九段に敗れて「机に突っ伏してガックリ」というシーンもあるなど、なかなか上位進出を果たせていませんでしたが……いよいよこの棋戦でも実力を見せつけてくれるのかもしれません。