Number ExBACK NUMBER
「大爆笑の中、村田兆治さんだけめちゃめちゃ怒って…」井手らっきょが明かす“たけし軍団vsプロ野球”「阪神には『勝てるかもしれない』と思っていました」
text by
甚野博則Hironori Jinno
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2022/09/26 11:03
1991年11月23日、阪神のファン感謝祭でたけし軍団と阪神が対戦し、たけし軍団がまさかの勝利。翌日のスポーツ紙でも“歴史的敗戦”が報じられた（写真は『日刊スポーツ』1991年11月24日発行の5面）
井手 茜リーグっていうのがありまして、例えばある日の1試合目は漫画家の水島新司先生のボッツっていうチームとやったりして、2試合をこなす。『スポーツ大将』を始めてから、大学生チームと多摩川で試合だとか、いろんなオファーが入りました。その頃は、たけしさんも普通にユニフォームを来て電車で多摩川に野球をしに行ってましたよね。たけしさんは野球が大好きなんで、2試合こなしても、まだ足りないっていうんです。そしたら、「ラッシャー（板前）、ちょっと誰か相手を探してこい」ってなって、「あそこに誰か走ってる奴がいるぞ」と。それで、ラッシャーが「野球やりませんか」と声をかけに行ったんですが、断られたと言って戻ってきたんです。その走っている人がこっちに来て誰かとおもったら、当時ヤクルトスワローズにいた荒木大輔だったんですよ。ラッシャーは野球に疎いから草野球選手だと思って声かけちゃった。
投手・金田、一塁・王、三塁・長嶋のチームと…
――仕事も忙しく、野球をしている時間があったんですか？
井手 当時は、『スポーツ大将』の番組だけで毎日スポーツをしていたようなイメージがあるんですよ。例えば、月曜日に野球2試合、火曜日はバレーボール2試合、水曜日にはサッカー2試合、そして陸上になると、僕しか出る人がいないから、木曜に僕だけ陸上をしたり。金曜日は『風雲！たけし城』（TBS系）、日曜日は『スーパージョキー』（日テレ系）、夜中はたけしさんのラジオ番組『オールナイトニッポン』と、もうヘロヘロでしたけど、それでも合間を縫って、僕はトレーニングジムに行ってました。
――たけし軍団は最終的に阪神などプロチームと対戦するまでになりました。プロとの対戦は阪神が初めてだったんでしょうか？
井手 OBになりますが、最初は名球会とやりました。ピッチャーが金田正一さんですよ。ファーストに王貞治さんです。サードには長嶋茂雄さんが守っていて……、もし、たけし軍団に入ってなかったら、名球会と試合なんてできるはずもない。もうホントにすごい経験をさせてもらいましたよ。
――すごいメンバーですね。
井手 試合後、みんなが樽を囲んで、おめでとうございますと、鏡割りをしたんですね。樽が割れた瞬間、僕がすっぽんぽんのタオル1枚で出てきて、「お先に失礼します！」って言いながらお風呂みたいに樽の中に浸かったんですよ。会場は大爆笑。でも、村田兆治さんだけ、めちゃめちゃ怒って、「お前、なにやってんだ！」って（笑）。
阪神戦前、井手が人知れず抱えていた病
――1991年オフのファン感謝デーのイベントで対戦した阪神は現役選手を中心にしたチームでした。
井手 現役のプロ選手と戦うのは初めてでした。新庄（剛志）さんとかもいましたからね。それでも僕は「勝ちたい」という思いでした。胸を貸してくださいじゃなくて、勝てるかもしれないと思っていましたよ。（プロ野球で使用されている）硬式ではなく（草野球等で使用されている）軟球だから、もしかしたら勝てるかもしれないと。
