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「そんなキャラじゃないよ、俺は!」「サブで何が楽しいの?」なぜ原口元気は“代表戦ベンチで鼓舞→絶賛の声”に戸惑ったか 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byKiichi Matsumoto/JMPA

posted2022/09/27 11:08

「そんなキャラじゃないよ、俺は!」「サブで何が楽しいの?」なぜ原口元気は“代表戦ベンチで鼓舞→絶賛の声”に戸惑ったか<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto/JMPA

チュニジア戦での振る舞いが絶賛された原口元気。ただ彼のリアルな心の中とは……?

「そんなキャラクターじゃないよ、俺は!」

 原口は断言する。

「スタメンも試合出場も、虎視眈々と狙っていたもん。だから、『いつでも先発でいけるだけのパワーがあるぞ』と監督に見せないといけないと思ってやっていたんだ。そのために声も出すし、激しくやってる。チームの雰囲気を盛り上げるために……という風には考えない。それが結果的に雰囲気を良くしていると判断してもらうのは自由だけど。『原口は大人になった。チームの雰囲気作りのために腐らないでやっている』ということではなく、『俺は、俺のためにブレずにやっている』という話だから」

みんな何を言っているの? サブ要員で何が楽しいの?

 それなのに、周囲からは“文句を言わずにチーム第一で若手を盛り上げるベテラン”というレッテルを貼られる。チームを優先するのは、本大会が始まり、スタメンではないとわかったときでよい。今からそこに甘んじていいはずがない。

 そんな認識では原口自身の成長は望めない。さらに、最終予選からメンバーが固定されてしまっているようではチームとしての成長も望めない。向上心も野心もない選手の集まりで、世界の強豪相手に勝てるはずがない。

 当時の原口は、チームのことを差し置いてまで、自分へのレッテルを一つひとつ否定することはなかった。そんなことをすれば波風が立つからだ。ただ、今になってあのときの内心をこんな風に吐露している。

「正直、内心では、少し腹も立っていたかな。『みんな何を言っているの? サブ要員でいて何が楽しいの?』と。『サブに回ったとしても腐らないように頑張ろう』というような気持ちで代表に参加するなら、そもそも行かないほうがマシだと思う。『試合に出てチームの助けになろう』という気持ちで代表に加わって、それでサブだったときに腐らないというのはわかるけど……。

 先発ではないと知らされたときは悔しかったけど、そのときは『今は頑張ってくれ、W杯の切符をつかんでくれ』と思えた。それで十分でしょう。でも俺はW杯に行きたいという気持ちがあるとともに、サブで甘んじますよということでは一切なかったから」

対世界でチームを助けられる要素が大きくなる

 ただ、何が何でも、自分以外の選手を認めないわけではないし、客観的な視点を失っていたわけでもない。

「アジアでの戦いを考えると、自分と同じインサイドハーフのポジションには守田(英正)と碧が出た方がハマるだろうなと客観的に見て感じる部分もあった。

 だから、『6月の4連戦からがポジションを奪いにいくチャンスだ』と最終予選の最後の方は思っていたかな。対アジアでは彼らの良さがチームを助けていたけど、対世界に対しては俺がチームを助けられる要素も大きくなると本気で思っていたから」

 果たして、6月の4連戦では3試合に出場、うち2試合が先発だった。#1であるように、本大会をみすえたようなカウンターからゴールもアシストした。

【次ページ】 「W杯初戦も、スタメンで出るつもりでいるよ」

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