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「馬房はお花で一杯になっています」愛された名馬タイキシャトル(享年28)が過ごした“幸福な余生”…晩年を支えたホースマンの思い
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byDaisuke Asauchi
posted2022/09/18 11:03
今年8月17日、28歳で天寿を全うしたタイキシャトル。晩年を支えたノーザンレイクの佐々木祥恵さんに、現在の思いを聞いた
なぜ、引退競走馬の世話をつづけるのか?
馬の世話だけではなく、建物や牧柵の手入れや修理、草刈り(これがとてつもない重労働になる)など、牧場の維持・管理には膨大な手間と費用がかかる。
高齢の引退競走馬の面倒を見るのは、楽ではない、という表現ではまったく足りないほど大変な作業の連続になる。いつ疝痛を起こすかわからないので、24時間ほとんど休みなくケアしなければならないときもある。
「シャトルがいたときは、有名だし、人気のある馬なので、家に戻ってからもドキドキでした。毎朝、目が覚めると同時に『無事かな』と気にしているような感じでした」
それでも、佐々木さんたちは、引退競走馬の世話をつづける。
「今となっては、気がついたらレールに乗っていたという感じです」
そう言って笑うが、先にサラリと口にした「馬が好きだというのが大前提にあります」という言葉は、重い。
好き、を突き詰めたら、ここに来ていた。
「馬生」をトータルで見る時代のホースマンの生き方が、ここにある。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。