今度こそ決着した、という空気に包まれたが、直後に場内のボルテージはさらに高まった。なんとデスペラードはカウント1でキックアウト。垂直落下式リバースタイガードライバーで畳み掛けても、レフェリーの3カウント目が叩かれることはなかった。

限界を超えた両者のラリアット合戦（クリックすると「この記事の写真」に飛びます。流血等の過激な写真を含みますのでご注意ください）

　その後、ラリアット、エルボー、頭突き、という意地のぶつかり合いとなり、とうとうデスペラードがロコモノ、スパインバスター、ギターラ・デ・アンヘルと得意技に成功。葛西もカウント1で返し、続くピンチェ・ロコもデスペラードの懸命の抑えこみに対しキックアウトしてみせたが、終わりが見えなかった試合はついに終局を迎えた。デスペラードがロコモノから掟破りの垂直落下式リバースタイガードライバー、ピンチェ・ロコと繋げ、とうとう3カウントを奪取。大熱狂が途絶えない23分30秒は幕を閉じた。

葛西純がデスペラードに贈った言葉

　試合を終えると、デスペラードは「ありがとうございました」と座礼。膨大な刺激のやりとりを終えた葛西もまた「こちらこそ、ありがとうございました」と応じた。

激闘を終え、深々と礼をする2人（クリックすると「この記事の写真」に飛びます。流血等の過激な写真を含みますのでご注意ください）

「葛西と戦った男」から「葛西に勝った漢」になったデスペラードだが、これが終わりではなかった。

　マイクを持った葛西は「最高にイイ漢のお前に、1つだけ言いたいことがある」と切り出した。

「世の中にはな、生きていてぇのに死ななきゃいけねぇやつ、生きていたいのに死んじまうやつがごまんといるんだよ！　お前みたいによ、最高の仲間に囲まれて、たくさんのファンに応援されて、夢だった新日本プロレスに入門して、プロレスラーとしてデビューして、新日ジュニアのトップ獲って……。最高の人生を送ってるやつがよ、死んでもいい覚悟でリングに上がるなんて言うなよ！」

　もちろん、葛西が「生きて帰るまでがデスマッチ」と言い続けていることはデスペラードも知っている。「死んでもいい覚悟」という言葉も、それを前提としたうえで発したものだった。しかし、葛西からすればその考えは違っていた。

【次ページ】　「もっと強くなって、またリングで会おうや！」