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「今思えば、俺の誇り」18歳の三浦大輔がプロ初登板、“大洋ホエールズ消滅の日”に誓った想い「俺も遠藤一彦さんのように…」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySPORTS NIPPON
posted2022/10/07 06:22
三浦大輔にとってのプロ初登板が「ホエールズ」最後の日だった。特別な一日のマウンドに上がった三浦に去来した思いとは…?
とにかく一軍のマウンドに立てた喜びしかなかった
「あの光景は忘れられないし、最高に気持ち良かったですよ。緊張? まったくなかったし、ワクワクだけですよ。こう言っては申し訳ないんですけど、ホエールズ最後の試合も、遠藤さんの引退試合も関係なかった。とにかく一軍のマウンドに立てた喜びしかなかった」
三浦は7回に吉村禎章、岡崎、村田を三者凡退に切って取ると、8回はまず大久保博元を打ち取り、続く篠塚和典からプロ初三振を奪った。
「最後は膝元のスライダー。ミートの上手い篠塚さんを空振りさせての三振だったから本当に嬉しかったですよ」
デビュー戦としてはこれ以上ないピッチング。以後、三浦は四半世紀にわたり“ハマの番長”として奮闘することになるが、このメモリアルデー初登板は、ホエールズやチームを支えるエースの魂を継承するかのようなタイミングだった。
18歳だった三浦が感動した“ある光景”
試合終了後に行われたセレモニーでは、ホエールズファンはもちろん、巨人ファンも帰ることなく遠藤に温かい拍手を送り続けた。18歳だった三浦は、この光景を目の当たりにしひどく感動をした。
「大先輩の引退試合に初登板したのは運命的なものを感じたし、俺も遠藤さんのように素晴らしい引退セレモニーをやってもらえるような選手になろうと思いましたね」
三浦は2016年に横浜の街をあげての盛大な引退セレモニーにより惜しまれつつ送り出された。遠藤の姿を見て、誓った想いを成就させている。
「今思えば、ホエールズのユニホームを着て公式戦で投げられたこと、そしてホエールズに所属した選手として最後まで現役でいられたのは、俺の誇りですよ」
三浦は嬉しそうに語った。