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サバンナ高橋「藤井聡太竜王は“負の感情”がない方なんちゃうかな」「頂いた“飛翔”の色紙を…」“観る将芸人”が藤井将棋に魅了されたワケ

posted2022/09/06 20:00

 
サバンナ高橋「藤井聡太竜王は“負の感情”がない方なんちゃうかな」「頂いた“飛翔”の色紙を…」“観る将芸人”が藤井将棋に魅了されたワケ<Number Web> photograph by KYODO

トークショーはYouTubeの「サバンナ高橋/しげおチャンネル」で視聴可

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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KYODO

その姿を追うカメラマン、番勝負の舞台の女将、地元東海棋界の重鎮、将棋中継の革命者、将棋沼にハマった芸人、女流棋士にして観戦記者。6人が間近で見て、感じて、魅了されたヒーローの横顔を明かしてくれた。藤井聡太五冠が王位を防衛しました。その快挙を祝してNumber1044号『[目撃者の証言]私が見た王者・藤井――高橋茂雄(サバンナ)「リアルタイムで伝説を味わう幸せ」』を特別に無料掲載します。

 将棋にハマったのは2020年、藤井聡太竜王が二冠を取られた頃でした。ワイドショーで「お、タイトル取りはったんや」と思いつつ、木村一基先生も最年長でタイトルを取られたことなどを知って、興味がわいたんです。そこからABEMAで対局が数多く配信されていたので観始めた、という感じです。

 対局中継がすごく手軽に観られて、AI評価値などが表示されることで、僕のようなファン歴が浅い人間でものめり込める。「観る将」の土台が整った、ちょうどいいタイミングやったのでは、と思います。

トークショーのMCとして向き合って感じたこと

 その中で藤井竜王は、現在も今後も将棋界を引っ張っていかれるし、ただただ尊敬しかないのですが、なんと2021年、棋聖戦防衛祝賀会トークショーのゲストMCを僕がやることになったんです。藤井竜王と実際にお会いして一緒に話すというのは、もう身に余る光栄というか。芸人の中で藤井竜王と喋ったことがあるのは、たぶんタモリさんぐらいでしょうから(笑)。

 実際に質問して、藤井竜王に抱いた印象としては、「どんな質問してんねん」とか「はよ家帰りたいな」といった“負の感情”が全くない方なんちゃうかなと感じました。僕にもお客さんにも、サービス精神というか、しっかりと誠実に答えようとしてくださっている感じでした。なおかつ聞かれたことには屈託なく答えてくれるんですよね。10代にして落ち着きがありつつ、トークセンスがありますし、気張ってる感じもないのがすごい。

 印象深いのは「一番好きな食べ物、お寿司でいいですか?」と聞いた時のことです。別になんてことのない質問だから“長考”する必要はなくて、普通なら「はい、お寿司は大好きですね」とかの返答でいいと思うんです。でも藤井竜王は「そうですね……」と考えてから答えてくれる。僕も“ここは!”と思い「10秒〜」と秒読みしてしまいましたが(笑)、一つ一つの質問をしっかりと咀嚼してくれるところに、将棋界のトップにふさわしい人間性を持った方やな、と感じました。

イベント前の楽屋で感じた“竜王の穏やかな空気感”とは

 お笑いをはじめ、どの世界でもトップの方は人間性が素晴らしいんですが、もし僕が19歳で将棋界のタイトルをバンバン取っていたら、多少なりとも調子に乗ったりすると思うんですよ、10代の頃って。でも藤井竜王にはその空気感が全くないんです。

 それはイベント前の楽屋で感じました。

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