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サバンナ高橋「藤井聡太竜王は“負の感情”がない方なんちゃうかな」「頂いた“飛翔”の色紙を…」“観る将芸人”が藤井将棋に魅了されたワケ
posted2022/09/06 20:00
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
KYODO
将棋にハマったのは2020年、藤井聡太竜王が二冠を取られた頃でした。ワイドショーで「お、タイトル取りはったんや」と思いつつ、木村一基先生も最年長でタイトルを取られたことなどを知って、興味がわいたんです。そこからABEMAで対局が数多く配信されていたので観始めた、という感じです。
対局中継がすごく手軽に観られて、AI評価値などが表示されることで、僕のようなファン歴が浅い人間でものめり込める。「観る将」の土台が整った、ちょうどいいタイミングやったのでは、と思います。
トークショーのMCとして向き合って感じたこと
その中で藤井竜王は、現在も今後も将棋界を引っ張っていかれるし、ただただ尊敬しかないのですが、なんと2021年、棋聖戦防衛祝賀会トークショーのゲストMCを僕がやることになったんです。藤井竜王と実際にお会いして一緒に話すというのは、もう身に余る光栄というか。芸人の中で藤井竜王と喋ったことがあるのは、たぶんタモリさんぐらいでしょうから(笑)。
実際に質問して、藤井竜王に抱いた印象としては、「どんな質問してんねん」とか「はよ家帰りたいな」といった“負の感情”が全くない方なんちゃうかなと感じました。僕にもお客さんにも、サービス精神というか、しっかりと誠実に答えようとしてくださっている感じでした。なおかつ聞かれたことには屈託なく答えてくれるんですよね。10代にして落ち着きがありつつ、トークセンスがありますし、気張ってる感じもないのがすごい。
印象深いのは「一番好きな食べ物、お寿司でいいですか?」と聞いた時のことです。別になんてことのない質問だから“長考”する必要はなくて、普通なら「はい、お寿司は大好きですね」とかの返答でいいと思うんです。でも藤井竜王は「そうですね……」と考えてから答えてくれる。僕も“ここは!”と思い「10秒〜」と秒読みしてしまいましたが(笑)、一つ一つの質問をしっかりと咀嚼してくれるところに、将棋界のトップにふさわしい人間性を持った方やな、と感じました。