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井上尚弥が「ほぼ完璧ではなく、完璧」と言い切る“生涯最高のパンチ”とは? 階級挑戦はフェザー級まで、“35歳で引退”にも言及 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byNaoki Fukuda

posted2022/09/06 11:02

井上尚弥が「ほぼ完璧ではなく、完璧」と言い切る“生涯最高のパンチ”とは? 階級挑戦はフェザー級まで、“35歳で引退”にも言及<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

米メディアのインタビューに笑顔で応える井上尚弥。かつて発言した「35歳で引退」にも言及し、引退後のビジョンも明かした

井上 1試合を通して、「これは強いな」と思った選手はいないですね。グラスゴーでやったエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)戦の第1ラウンドは、「おっ」と思いました。1ラウンドから12ラウンドまで本当に気の抜けない試合というのは、やはりドネアの1戦目くらいでしょうか。ただ、それはドネアが強いと感じたというより、単に自分のケガの影響が大きかったのだと思います。

——スパーリング、アマチュアでの試合で対戦した選手まで含めるといかがでしょう?

井上 それほど思い浮かばないですけど……。ジェイミー・マクドネル(英国)戦前、スパーリングをやってもらった現在WBA世界フェザー級チャンピオンのリー・ウッド(英国)はパンチ力がありましたね。ウッドはナチュラルなフェザー級で、しかも体重調整をしてなかった時期。身体が大きくて、フェザー級よりもかなり上の体重だったと思います。それもあってか、身体とパンチの強さはめちゃくちゃ感じました。

パヤノ戦の右「ほぼ完璧ではなく、完璧」

——階級を上げ、よりパワーと耐久力に秀でた選手と対戦するのは楽しみでしょうか? 同時にやはり怖さも感じるものですか?

井上 両方出てくるんじゃないですか。打っても耐えられてしまったとき、自分がメンタルをどうコントロールしていくか? 今まではパンチを当てていくごとに相手の表情が変わっていたんですけど、スーパーバンタム級、フェザー級と上げたときに、バンタム級なら普通に倒していたパンチでも耐えられてしまうかもしれません。そうなったときのメンタルの保ち方。それは楽しみだなとも思うし、怖さでもあります。

——これまでに見せていなかったものを見せられる機会でもあるのでしょうか?

井上 そうですね。そこで自分のすべてが見せられるのかもしれません。

——これまででベストのパンチはファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)戦のKOパンチとなった右でしょうか?

井上 ベストはパヤノ戦ですかね。あそこまでの一撃は練習でもないです。ほぼ完璧ではなく、完璧。努力して、継続すると、力が出せるので、「継続は力なり」って言うじゃないですか。その「力なり」を越す力が出る時があると思うんですよ。あんなの絶対、スパーリングじゃできないですから。本当に研ぎ澄まされて、普段はない感覚を持った時に出る一撃です。自分が本当に研ぎ澄まされて、1本の光が見えるくらいまでになったときに打てたパンチです。

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