オフサイド・トリップBACK NUMBER
アジア杯の宿敵に大問題発生中。
さらば老兵、オーストラリアよ!
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/02/04 10:30
W杯ドイツ大会、南アW杯のアジア最終予選など日本代表に対して肝心な試合で決勝点を挙げてきたケーヒルは「ジャパン・キラー」とも呼ばれたのだが……。今年31歳のベテランにも黄昏が迫る
切磋琢磨するライバルの凋落は、日本も喜べない。
日本対オーストラリアのアジアカップ決勝。
僕はハーフタイムに『AWAY GAME』という本を読み直していた。海外でプレーするオーストラリア人選手を扱った著作として高名なもので、エージェントが取材に難色を示したとされるケーヒル以外は、有名選手をほとんどカバーしている。
ただし初版は2000年。2006年に改訂版が出されたとはいえ、いまだにこの本で紹介されている選手の顔ぶれが変わっていないという事実が、オーストラリアのサッカー界が置かれた苦境を象徴している気がする。
『AWAY GAME』に新たな章が加わる日は来るのか。オーストラリアのサッカーは”HOME GAME(国民的なスポーツ)”になりうるのだろうか。
宿敵が弱くなってくれるのは日本にとって悪い話ではない。だが次の目標、W杯で8強入りを目指すためには切磋琢磨する相手、それも韓国などとはタイプの違うライバルがいたほうが良い。その意味で、サッカールーズの黄昏を単純に喜ぶわけにもいかないのが難しいところだ。