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大谷翔平がエンゼルス資産価値「3000億円」の最大のカギだった…球団売却でもオーナーが“大谷を手放さない”本当の理由「莫大な営業利益」 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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posted2022/08/27 11:03

大谷翔平がエンゼルス資産価値「3000億円」の最大のカギだった…球団売却でもオーナーが“大谷を手放さない”本当の理由「莫大な営業利益」<Number Web> photograph by Getty Images

エンゼルスの球団売却を受け、再燃する大谷の去就問題。その裏では、さまざまな思惑がうごめいていた

エンゼルスの現在の資産価値はなんと「約3000億円」

 米国の経済誌「フォーブス」はエンゼルスの現在の資産価値をメジャー30球団中9番目となる22億ドル(約3000億円)と伝えた。開幕前、専門誌「ベースボール・アメリカ」が発表したエンゼルスのマイナー組織の格付けは30球団中29位。若手有望株が枯渇するなかで資産価値が全体9位に評価される意味は世代を超えた才能を持つトラウト、大谷の存在に他ならない。

 トラウトは全球団へのトレード拒否条項を持ち契約は30年まである。だが、エンゼルスが持つ大谷の保有権は彼がフリーエージェントのマーケットに出る23年のワールドシリーズ終了後4日目までしかない。それまでに売却は成立するのだろうか。

 大谷がFAで他球団への移籍を決断すれば、エンゼルスの資産価値は大きく減少するだろう。03年にモレノオーナーは1億8400万ドル(現在のレートで約252億800万円)でエンゼルスを買い取った。単純計算で12倍に膨れ上がった資産価値を維持したまま売却を成立させるために残された時間は決して多くない。

モレノ氏が“大谷を手放さない”最大の理由

 一般論として、大谷をトレードで出せば若手有望株を多く手にすることができると言われている。確かにその通りだろう。ベースボール・オペレーションの立場からすれば、若手有望株の数が増えることは球団の価値が上がることになる。だが、マーケットという点で考えれば、広告収入を含めた莫大な営業利益をもたらす選手は、今のメジャーリーグ全体を見渡しても大谷を上回る者はいない。大谷が唯一無二であるのは二刀流だけではないのだ。

 ここに約3000億円と評価されるエンゼルスの資産価値の根幹がある。広告業で巨大な富を得て、メジャー初のメキシコ系米国人球団オーナーとなったモレノ氏が大谷を手放さない理由だ。だから思う。モレノ氏の手に球団がある以上はトレードは考えにくい。

 だが、ビジネスの世界は難しい。新たな買い手が、若手有望株を集めることを条件とした場合はどうなるのだろうか。いずれにしろ、大谷が自分の意志で動けるのはフリーエージェントになってから。はっきりしているのはそこだけだ。

【次ページ】 大谷はこのままエンゼルスの将来を背負うのか?

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