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大谷翔平がエンゼルス資産価値「3000億円」の最大のカギだった…球団売却でもオーナーが“大谷を手放さない”本当の理由「莫大な営業利益」
posted2022/08/27 11:03
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
球団売却へ。主砲マイク・トラウトはレイズ戦を控えた敵地トロピカーナ・フィールドのクラブハウスで困惑の表情を浮かべていた。
「まだ頭の中を整理しきれていないんだ」
無理もない。発表は突然だった。3時間前、アート・モレノオーナーは声明文で球団売却の方針をリリースした。
「この難しい決断は完全に私たちの選択であり、熟考に値するものだった。だが、私と家族は最終的に今がそのときだという結論に達した」
トラウトは入団時から世話になったオーナーへの謝辞を表した一方でわずか2分30秒ほどの囲み取材で「頭を整理しきれていない」の言葉を何度も繰り返した。その中に心に残る言葉があった。
「Obviously, I want to win」(とにかく勝ちたいんだ)
今季もこの時点で52勝70敗。7年連続負け越しとなればメジャー最長記録になると米メディアは伝えている。メジャー12年のキャリアでMVP3度を誇る輝かしい実績を持つ31歳でありながら、プレーオフ出場経験は14年の一度しかない。限りある選手生命。素直な気持ちが表れた。
ストーリーは大谷の去就問題へ
昨今のエンゼルス低迷はモレノオーナーの独裁政治にあると批判する声は多い。売却意向を表明した際、オーナーの功績を称えた米メディアはほとんどなかった。むしろ20年間で6度の地区優勝を飾りながらその報道は辛辣なものばかりだった。ロサンゼルス・タイムス紙はこう伝えた。
「ANGELS’ LOST YEARS」(エンゼルスの失われた時代)
売却方針が発表されたことで日米のメディアはこぞって、大谷翔平の去就問題へとストーリーを展開した。地元紙オレンジ・カウンティー・レジスターは「売却完了には1、2年かかる可能性がある」とした上で、エンゼルスと大谷の微妙な距離感を表現した。
「今回の売却は調停最終年の23年に少なくとも2500万ドル(約34億2500万円)の年俸となる可能性のある大谷を球団がどうしようとしているのか。そこにも疑問は及ぶ。23年終了後に大谷はフリーエージェントとなるが、売却にどれだけの時間を要するかは不明だ。球団は大谷を抱えるのか、長期契約を結べるのか、それによりフランチャイズの価値は大きく変わる。同時に大谷も球団が考える将来の方向性について知りたいだろう。だが、新たなオーナーが決まる前にそこを評価するのは難しい」