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落合博満の“率直だけど芯をとらえる”名言「高く買ってくれるとこだったら、どこでも」「岩瀬が打たれて負けたなら、仕方ねえじゃねえか」 

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posted2022/08/01 11:00

落合博満の“率直だけど芯をとらえる”名言「高く買ってくれるとこだったら、どこでも」「岩瀬が打たれて負けたなら、仕方ねえじゃねえか」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

中日監督時代の落合博満

和田一浩に「今のバッティングを変えないと…」

<名言3>
今のバッティングを変えないと打てない。無駄が多すぎる。
(落合博満/Number773号 2011年2月24日発売)

 ◇解説◇

 歴代12位(以下カッコ内は同じ)の通算2371安打、510本塁打(6位)、1564打点(5位)、打率.3108(9位)。プロ入り時点で「25歳」だったのに、落合はこれほどの成績を残した。その口から語られる打撃論は唯一無二なものがあるし、選手に対してバッティングの“無駄”を指摘するのも決して不自然ではない。

 ただ、監督として冒頭の言葉を投げかけた対象は、FA移籍で中日に加入した直後の和田一浩だった。和田は西武時代に首位打者に輝き、02~04年にかけては3年連続30本塁打を放つなどパワーとアベレージを両立する強打者の地位を確立していた。その和田がFAで加入となれば、選手に一任してもおかしくなさそうなところだが……落合監督はあえて和田に問いを与えたのだ。

 当初、和田もこの言葉を信じられずにいたようだが、シーズンが開幕すると調子は上がらず、代名詞だったオープンスタンスは気付けば、スクエアへと修正されていた。36歳での決断は決して容易ではなかっただろうが、和田はしっかりと対応。パからセに移った1年目ながら打率.302、16本塁打74打点をマークした。

 落合と同じ大器晩成型のスラッガーである和田は、落合とともに日々打撃のアップデートに励んだ。

 特にリーグ優勝を果たした2010年には打率.339、自身最多となる37本塁打、93打点という成績を残し、38歳にして初のMVPを獲得した。その後も打棒に陰りを見せず、史上最年長42歳11カ月での2000安打を達成。落合の言葉からスタートした積み重ねが、和田のキャリアを伸ばしたと表現しても過言ではないだろう。

 なお落合は、監督時代にこのような言葉も残している。

「俺がレギュラーと認めた選手は12球団どこへ行ってもレギュラーを取れる」

人間が投げてるんだ。悪い時だってあるよ

<名言4>
岩瀬が打たれて負けたなら、仕方ねえじゃねえか。
(落合博満/Number976号 2019年4月11日発売)

 ◇解説◇

 中日の監督に就任して以来、落合監督は岩瀬仁紀を送り出して逆転負けを食らった際、決まってこうコメントしたという。

 就任1年目の2004年、2点差リードを追いつかれたある試合でも「人間が投げてるんだ。悪い時だってあるよ。1試合や2試合でバタバタしなさんな。これまであいつにどれだけチームが助けられてきたことか。それを考えないといけないだろ」と語るなど、思いは一貫していた。

 その信頼を究極のレベルで示したのが、言わずと知れた2007年日本シリーズ第5戦だ。

【次ページ】 ものすごい重圧だった。人生初めてです

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