「虎のように、ということではないですけど、でも“伸び伸びと”という想いはあったでしょうし、自分もそういう感じで生きているかなと思います。キャッチャーは中学1年生のときからやってます。キャッチャーってピッチャーが一球投げるごとにボールに触れますし、自分の配球が試合を左右する楽しさもあるじゃないですか。今はピッチャーのいいところを引き出すことと、ランナーを背負ってからでも粘り強く守ることを大事に考えてますね。そのためにもピッチャーとのコミュニケーションをしっかり取って、その日のボールの質や、どの球種でストライクを取れるのかを見極めることが大切だと思ってます」

試合後に欠かさずつけているノート

　松川が佐々木をリードするとき――まずは平均160kmを叩き出すストレートで押す。そして吉田やホークスの柳田悠岐、ライオンズの中村剛也といったスラッガーに対してはフォークをカウント球に使ったり、カーブを初球から続けて意表を突く。あと伸びしろとして考えるべきは、今はあまり投げていないスライダーをどう活かすか、あるいは右バッターのインコースをどう使うか、といったあたりだろうか。

「いや、これからもとくに変わらず、シンプルにいこうと思っています。左バッターへのスライダーは引っかかってデッドボールにしてしまうのが一番、もったいない。実際、栗山（巧、ライオンズ）さんに当ててしまいました（4月3日）し、それを怖がってしまうと西川（遥輝、イーグルス）さんに打たれたタイムリーツーベース（3月27日）のように甘く入ってしまいます。ちょっと高く浮いたことで打たれたあの一球には、すごく悔いが残っていますね。だからこそ、シンプルに、しっかりとストライク先行でいくことを大事にしたい。その結果、カウントが有利になればカーブを使ったりしながら、もっともっとまっすぐを速く見せる配球ができればなと思っています」

©︎Hideki Sugiyama

　試合が終われば、その日の映像を見て相手バッターの反応や配球について感じたことをノートに書く。もちろん、佐々木について感じたことも書き留めている。

「ピッチングの仕方だったり、野球に入っていくときのスイッチの入れ方だったり、そういうところが全然、違います。練習を終えたときと試合に入るときとでは顔が変わるんですよね。試合に向かうときは、やってやるぞ、みたいな顔をしてますよ」

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