Number ExBACK NUMBER
『すぽると！』元キャスター本田朋子に聞いた”男社会”での線引き「球場で“見ています”とアピールはしますが、選手には近づきすぎないように心がけていた」
text by
小泉なつみNatsumi Koizumi
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/08/31 11:03
約10年にわたって『すぽると』キャスターを務めたフリーアナウンサーの本田朋子さんに当時の話を聞くと…
――それはゴシップ対策的な意味ですか。
本田 週刊誌のカメラも気をつけていましたが、主眼は選手との距離感の方で。友達のようになってしまうと、逆にちゃんとしたコメントが引き出せなくなると思ったんです。
――関係が近くなると、逆に言葉を引き出せなくなるんですね。
本田 なあなあな関係になってしまうと、私も真正面から切り込めなくなってしまいそうでしたし、選手も気さくには話してくれても、結局「神髄」の部分を語ってくれなくなりそうだと感じていました。そういった意味でも、コメントを引き出すなら、日々球場に足を運ぶ正攻法、真正面からぶつかっていましたね。
――他の媒体より良い取材をするためにも、選手から誘われたら飲みニケーション的なことをしたくなると思いますが、その真逆を行く取材スタイルです。
本田 特定の選手と仲良くなってしまうと、そのチーム内であらぬ噂が立ってしまうこともあります。キャスターとしての立場を守るためにも、距離感は誤らないようにしていました。
正社員として『すぽると！』チームに
――大学生からキャスターとしてキャリアを積まれてきた凄みを感じます。
本田 いえいえ、学生キャスターのときはただひたすら先輩の後を追っていただけです（笑）。ただ、そこでキャスターという仕事の大変さと同時にやりがいも感じて、制作チームとの一体感に醍醐味を感じました。その反面、当時私は事務所所属の大学生で、スタッフからは「お客さん」扱い。それが寂しくて、チームに正式加入するために、フジテレビの就活に突き進んだんです（笑）。
