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“5年勝てなかった”内藤哲也に大逆転勝利…棚橋弘至45歳が『G1』2戦目で涙ぐんだワケ「それくらい差があったんだと思います」
posted2022/07/27 11:03
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
どちらも初戦を落として、負けられない状況下でのリーグ戦2戦目。棚橋弘至vs内藤哲也は新日本プロレス『G1 CLIMAX 32』のCブロック注目のカードになった。だが、7月24日の大田区総合体育館は満員にはならなかった。2518人という観客数は物足りない数字だ。
勝者は棚橋だったが、その棚橋は試合終了後、涙ぐんでいた。
約5年ぶりに内藤に勝てたことがうれしかったのか、あるいはコロナ禍での逆境が悔しいのか、こんなことを口にした。
「いつか、絶対にオレの手で、他の誰かじゃなくてプロレスラー棚橋弘至の手で、この状況を切り抜けて、みんなが楽しめるプロレスにします。ただ、今はね、気をつけましょう。プロレスの大会をやらせてもらっている身で言うのもなんなんですけれども、本当に新日本プロレスも最善を尽くしますので、皆さんも最善を尽くして力を合わせて、みんなでG1の力を感じましょう。ありがとうございました」
棚橋は「プロレスラー棚橋弘至の手で」と念を押した。そしてマットに膝をついてお辞儀をした。
棚橋が見せた「生き残るためのフォール」
45歳の棚橋が40歳の内藤に最後に勝ったのは、2017年6月11日、大阪城ホールでのインターコンチネンタル戦だった。
あれから5年。まだ、棚橋vs内藤なのか、それでも棚橋vs内藤なのか。両者とファンの想いが交錯する。2人は何かを確かめるようにリングで対峙していた。どちらにも痛み分けで終えようという生ぬるい選択肢はなかった。
内藤は珍しくネックロックなどの寝技で長い時間、棚橋の動きを封じた。棚橋はいつものようにスリングブレイドのネックブリーカーやドラゴンスクリューをたたみかけた。スープレックスの切れも悪くなかった。