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〈日本代表考察〉Jリーグの戦術、本当に自分のモノになってる? 脇坂泰斗や田中碧、守田英正の“川崎仕込みの立ち位置”が示すヒント 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byHiroki Watanabe/Getty Images

posted2022/07/26 11:02

〈日本代表考察〉Jリーグの戦術、本当に自分のモノになってる? 脇坂泰斗や田中碧、守田英正の“川崎仕込みの立ち位置”が示すヒント<Number Web> photograph by Hiroki Watanabe/Getty Images

スコアレスドローに終わった中国戦にあって、積極性を見せた脇坂泰斗。現代表で“フロンターレ組”はなぜイキイキとしているのか

 先発出場した中国戦では特に前半、右サイドに顔を出すことが多く、宮市亮、小池龍太のF・マリノス勢といい関係性を築いていた。

 ゴール、アシストという結果を残せなければ、W杯のメンバー入りへのアピールにはならないぜ、と思う反面(それは本人が一番よく分かっていると思うが)、“止める・蹴る”がしっかりしていて、サッカーIQが高いな、という香港戦からの印象に変わりはない。

 反対に、左サイドの選手たちはなかなか立ち位置が定まらず、立つレーンが重なってパスコースを消してしまったり、使いたいスペースが被ってしまうことがあった。そんな光景を見るにつけ、想像せずにはいられなかった。左サイドにもうひとり脇坂がいたら、たとえば森島司はもっとプレーしやすいだろうな、と。

思い出すのは、守田英正が語っていたこと

 そこで思い出すのが、カタールW杯アジア最終予選を戦った日本代表である。

 あのときの日本代表には、“脇坂的な選手”が右と左にひとりずついた。言うまでもなく、元フロンターレの守田英正と田中碧である。

 彼らが21年10月のオーストラリア戦でスタメンに抜擢され、試合を重ねていくなかで、チーム全体の立ち位置や戦い方が整理されていった。

「『ボールを持つ時間を増やそう』とチームに伝えました。ベテラン選手をはじめ、ずっと日本代表で活躍されてきた選手たちは、それを聞き入れてくれた。そうした柔軟な姿勢はすごくありがたかった。それに大きかったのは、碧と一緒にプレーしたことですね。『こうした方がいい』と思っていても、なかなか1人ではチームに影響をもたらせないので」

 守田は今年3月に、そう語っていた。ふたりの考えを理解し、合わせられる選手たちがいたからこそだが、ふたりの考える“相手を見て立ち位置を取り、ボールを保持するサッカー”がチーム内に波及していったのは確かだろう。

なぜフロンターレ出身の選手は立ち位置に迷いがないのか

 なぜ、フロンターレ出身の選手たちはどのチームでプレーしようと、立ち位置に迷いがないのか。

 その答えのヒントは、かつて聞いた中村憲剛の言葉にある。

「もともと体が小さかったから、相手に当たられないよう考えながらプレーしていた。そうやって考えてプレーすることを、(イビチャ・)オシムさんに肯定してもらって自信になった。それに子どもの頃からバルサ(FCバルセロナ)が好きで、ペップ(グアルディオラ)がバルサの監督になった頃、中間ポジションを取って相手を困らせて、ボールを支配しているのを見て、なおさら自分のやってきたことは間違いじゃなかったなって。ペップのバルサを見ながら、より一層、どこに立てばいいのか意識してプレーするようになった。

 ここ何年かで、『ポジショナルプレー』『ハーフスペース』『5レーン』とか、ペップのサッカーが言語化されたでしょう。そうした言葉は知らなかったんだけど、ああ、自分の考えはポジショナルプレーと定義されるものだったんだとか、自分が立っていたのはハーフスペースだったんだなって」

 つまり、誰かに植え付けられたのではなく、自ら導き出したわけだ。

【次ページ】 Jでも戦術的にデザインされたチームが増えてきたが

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